風ノ助

カラスの飼育の風ノ助のレビュー・感想・評価

カラスの飼育(1975年製作の映画)
4.0
『ミツバチのささやき』から2年経って少し大きくなったアナちゃん主演
光の差さない真っ暗で大きな瞳に吸い込まれそうでした

大人になったアナが語る子ども時代の記憶の物語なので幻覚も登場するし時系列も交錯している

大好きな母親が病気で苦しんで死んでいったのは父親のせいだと思い殺そうと思う
祖母へ自殺を促す
親代わりに厳しくする叔母に死ねばいいのにと思う

冷蔵庫の中の鳥の足、ペットの死、使われていないプールや廃墟のような庭など映像のあちこちに死のイメージが充満している

空想と現実の境目が曖昧な子ども時代、死はいつも身近にいて無邪気ゆえに残酷だったと大人になってから気づく

ポップスのレコードをかけて三姉妹で踊ったり演劇ごっこをしたりと子どもらしいかわいいシーンもある
見つかったら死ぬふりをするかくれんぼはちょっと怖いけど

最後に三姉妹が学校に行くところでやっと家族だけの澱んだ空間から抜け出せたことにホッとした
風ノ助

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