キッチー

ジゴロ・イン・ニューヨークのキッチーのレビュー・感想・評価

3.6
監督・脚本・主演はラテン系のジョン・タトゥーロ。共演ウディ・アレン。タトゥーロの作品だけどウディ映画の特徴である音楽、女性、NY. . . 等々を踏襲しているコメディ。今作はユダヤ人社会に踏み込んだ作品になっているのも興味深い。

物語は. . .
3代続いた本屋を廃業することになったマレー(ウディ)が、新しい商売を思いつき、友人で花屋のアルバイトになったばかりのフィオラヴァンテ(タトゥーロ)を唆してジゴロにし自分は紹介業を始める。お客さんはレズの医者(シャロン・ストーン)を筆頭に何人も現れ、そこそこ繁盛する。そんな中、一人のユダヤ人未亡人アヴィガル(ヴァネッサ・パラディ)もお客として訪れる。なにか訳ありの未亡人にフィオラヴァンテも惹かれていく。
一方、アヴィガルの幼なじみ、警官ドヴィ(リーヴ・シュレイバー)は彼女をいつも近くで見守っているが、突如彼女に接近してきた二人組(マレーとフィオラヴァンテ)が気になって仕方ない。嫉妬心も後押ししてユダヤ人会に通報するドヴィ。かくして哀れなポン引きマレーは黒服、帽子、巻き毛のユダヤ人たちに拉致されることになるが. . .
といった内容

フィオラヴァンテとアヴィガルのデートは綺麗でした。オレンジがかった街並みも二人の関係をより濃密に感じさせます。ラテン系だけど年齢を重ねた大人の包容力もあるフィオラヴァンテは好人物でした。

ウディ演じるマレーが得意の軽口をたたくシーン。ウディはいつものように終始滑りまくっていますが、彼らしさ全開です。ユダヤ人審議会で宗教的指導者ラビがユダヤ律法の罪について講釈するところ、大層な重罪が並んでいくのに最後に「ポン引き」って. . . (笑)

終盤はちょっと切ない展開だったのですが、
ラストシーンは良かったです。深刻な感じの二人が、ささいなきっかけで変わる感じ、最後のタトゥーロの表情がなんともいえません。ちょっとホッとする感じがコメディらしくて. . . クスリと笑えました。

ヴァネッサは、最初は無表情で年配の女性のようにも見えましたが、途中で見せた笑顔が可愛いくて良かったです。
ユダヤの戒律を守る慎ましい女性の役だけど、抱える悲しみとか、気持ちの変化とか表現力豊かでした。

ウディ映画はこれで22作品目。まだまだあるので、久々に観ていこうかな。
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