ルイまる子

ジゴロ・イン・ニューヨークのルイまる子のレビュー・感想・評価

5.0
またまた自虐的ハートウォーミングドラマです。花屋のおやじがジゴロになりNYの淋しい女性達を少し幸せにする、というお話ですが、マニアックな目線で若い頃からずっとウッディアレン映画を見て来たファンからするとおじいちゃんになった彼の独白的映画です。物語自体が独白じゃないにしても、エッセンスにそういう色合いが一層強く、最近では自虐が高じて、レイシストを自ら自認し更にそれを公開処刑し、それに加え同じユダヤ人仲間からも非難され、もう何処にも居場所がなくなった結果こんなことやらかしましたー汗、っていう物語。要するに居場所のなくなった人達がやらかしたニュービジネスがなんか結構心温まる話になりましたという作品に仕上がっています。

【ネタバレあり】

大体NYの下町にある父から受け継いだ本屋を経営の悪化から畳む事になったという始まりからして自虐です。奥さんはもとメイドだった人?というまるっきりスラム出の黒人だ。彼はまぁブルックリン出身のユダヤ系だと思うが、恐らく、シナリオはこうでしょう。同じ階級の女性と何度か結婚離婚を繰り返した結果、もうどうにもならない男尊女卑なので女性が寄り付かず、黒人の最下層の嫁さんあたりでやっと落ち着いた、みたいな。で子供達も彼女の連れ子みたいな黒人のキッズが4人居て、ちょっと貧し気なリビングルームで70過ぎたウッディアレンがその黒人キッズ達とオール皮肉&ジョークの会話を展開していて、なんだかんだ楽しそうで、最初から笑っちゃいました。

男尊女卑のどこが悪いんだ?と増々声高に叫んでるような所があります。 「女は本を読んだら男性に嫌われるものだから」とか、現代では叩かれそうな性差別人種差別宗教差別的な台詞が沢山出てきますが、敢えて古い価値観をギャグのように見せつつ半ば本気なのだ、というギリギリラインに乗せるセンスの良さ。

ラビの未亡人の彼女とスペイン系?ジゴロの淡いファーストラブみたいな大人の恋が素敵でした。シャローン・ストーンともう一人のレズビアンとのsexシーンでジゴロの彼が出来ないと言った時、あ!!!恋をしたのね!!おめでとう!という楽観的なリアクションも知的で好きでした。

(Yahoo 映画から転載 2015年1月17日視聴)
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