こたつむり

フライト・ゲームのこたつむりのレビュー・感想・評価

フライト・ゲーム(2014年製作の映画)
3.9
★ 空飛ぶ密室で、リーアム・ニーソン暴走!

これは良作でした。
物語としては「搭乗中の航空保安官の元に届くメール。そこには「20分以内に1億5000万ドルを口座に振り込まないと乗客を一人ずつ殺す」と書いてあった…。犯人はこの飛行機の中にいる!」というサスペンス。

良い部分を簡潔に挙げると
・舞台を飛行機に限ったことで生まれる緊張感
・主人公が暴走し共感出来ないのが功を奏する
・常に主人公の一歩先を歩む犯人の頭の良さ
・そして、その犯人が終盤まで分からない
とサスペンスを引っ張るに十分な要素で構成されているのです。

だから、かなりの力作。
あー、楽しかった。

…と充足感に浸りながら感想を書こうとし、作品を振り返ってみると…あれれ?粗が目立ちますよ。

そんな気になる部分を挙げるとすると
・主人公の性格が謎(人を信用し過ぎ)
・放置された布石(×××嫌いは…)
・謎が残るトリック(殺害方法に矛盾が…)
・というか不可能に近い行動(メールは…)
・冷静な性格に合わない犯人の行動
と出てくる出てくる…もうボロボロ。
まるでネズミに齧られたチーズのよう。穴だらけで惨憺たるものです。

でも、考えてみれば。
そんな脚本でもグイグイっと押し込んでしまえるのが監督さんの力量。ジャウム・コレット=セラ監督の真骨頂なのです。

だから、何も考えないのが鑑賞時のコツ。
リーアム・ニーソン演じる主人公が暴れる様を「もう少し考えて行動しようよ」とツッコんでいれば…きっと素敵なエンディングを迎えると思います。たぶん。

まあ、そんなわけで。
整合性はごみ箱に捨てて、乱気流で揺れる飛行機の浮遊感を楽しむ作品。個人的にはジャウム・コレット=セラ監督作品の中で一番のヒットでした(次点は『ロスト・バケーション』)。
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