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みんなのための資本論のwigglingのレビュー・感想・評価

みんなのための資本論(2013年製作の映画)
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クリントン大統領時代に労働長官を務めたロバート・ライシュの語りを軸に、いまの経済問題を読み解くドキュメンタリー。
超がつくほどの経済オンチの自分にも分かりやすい平易な解説と、明るい未来を手繰り寄せる事はできるんだという力強いメッセージに心を揺さぶられた。

トリクルダウン経済ではなく、分厚い中間層を育てる事が格差の拡大を防ぐ最も効果的な方法であるとライシュは説く。歴史から明らかなように、中間層の消費力こそが経済を回すのであり、少数の富裕層は経済に何の寄与もしないのだと。
そして、格差社会は民主主義の弱体化を招く大問題であるとも。政治が金で買われるようになり、企業優遇の政策により金権政治が蔓延する。こうしたモラル低下は民主政治をどんどん後退させる。

いやー、すべて納得できますね。日本の現政権の経済政策がアベコベノミクスと揶揄される理由がとても良く分かります。そして、民主主義の弱体化という点も、そっくりそのまま今の日本に当てはまる。

ちょうどタイミング良くジョセフ・スティグリッツ教授が日本の経済政策について提言した事が報じられましたが、そこでの指摘も本作に通じるもので、やはりと思うばかり。

こうした政治の間違いを指摘するためにも、本作のような良質な教材が必要なのであって。こういう作品をもっと観たいと思った。
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