イチロヲ

襲われる女教師のイチロヲのレビュー・感想・評価

襲われる女教師(1983年製作の映画)
3.5
過去のレイプ被害の衝撃を抱えている女性教諭(風祭ゆき)が、男性の性的欲情を受け入れられないまま、特殊な性生活を送っていく。屈折した性意識の中で、飄々と世渡りする女性の姿を追っている、日活ロマンポルノ。

本作の主人公は、レイプ被害により「幸せスイッチ」を失っている立場にある女性。異性とセックスすることができるけれども、心が満たされることはない。捻れたプライドを持っているため、男たちから反感を買ってしまう。

真っ暗な部屋の中、ベッド上に間接照明をあてているような映像作りが印象に残る。風祭ゆきの女体の起伏が、薄暗闇にぼんやりと浮き上がり、官能性と芸術性を喚起させてくる。少しばかりの虚無感が漂うところも醍醐味。

主人公の「心の浄化」を描いたものとは異なるため、これでいいのだろうかという困惑が浮かんでしまうが、特殊きわまりない境遇にいる女性の「let it go!(流れに沿って突き進むしかない!)」という観点では、まさにロマンポルノの王道といえる。
イチロヲ

イチロヲ