EDDIE

ソロモンの偽証 後篇・裁判のEDDIEのレビュー・感想・評価

3.7
偽善、嘘、虚偽、虚言、妄言、嘘にまつわる様々な言葉。亡くなった同級生の弔い、そして真実を知るための子供だけの裁判。果たして物語はどう決着する?

前編・後編の2部構成。
亡くなった同級生・柏木の死の真相を追い求めて、学級裁判の準備をする子供たちの活動を前編で映し出しました。
学級委員で父が警察という正義感に溢れる藤野涼子。ただし、彼女はイジメられた同級生を助けもしない口だけの偽善者だと、生前の柏木に遠慮なく責められたことがずっと心に引っかかっていました。
そして、今作で被疑者として裁判に立つ問題児の大出俊次。日頃から父親の暴力に悩まされ、学校では悪友たちと暴挙の限りを尽くし、今回の柏木殺しの犯人だと疑われてしまいます。
そんな彼が無実だと弁護人を引き受けた他校の生徒で生前の柏木の友人でもあった神原和彦。彼ら3人が主要なメンバーです。

ただ前編以上に存在感を発揮していたのが、三宅樹里役の石井杏奈。同級生の死をきっかけに、切なさと怒りの入り混じった難しい役柄を怪演。さらに思春期の女の子特有の悩みとして、ニキビ顔に大きなコンプレックスを抱えているという内面的な弱さも持っていました。

さすがに物語の結末に通じるところは語るのを控えますが、終息点は思わぬ展開に。
あまりにも想像の範疇を超えた展開で驚きはしましたが、この結末でよかったのかと裁判結果には多少の疑問点も残りました。
一方で、子供だけでなく、教師や親たちの覚悟も心理的にうまく演出したのは本作の良かったところ。

前編・後編通じて感じたのは、マスコミの映し出し方。映画でマスコミの悪い部分を存分に表現したのはある意味意欲的でしたね。教師たちは責められる2年目若手教師の森内先生を松重豊演じる北尾先生以外は誰も庇わず、警察の下した決断の言いなりになり、さらにはマスコミの印象操作により、あらゆる人々の人生が大きく狂わせられました。
さらに真実を導き出す意味において、大出が本当に柏木を殺したのか、彼の問題行為を次々に裁判であぶり出す弁護人の姿。なぜ弁護人である神原がこのような行動をとったのか。

見所は随所に詰め込まれており、正直個人的には大好きな類の映画でした。
結末部分と一部サブ子役たちの学芸会演技が評価を下げざるを得ませんでしたが、中でもキーパーソンの柏木役だった望月歩の演技?というか喋り方が鼻についたのが一番きつかったですね。
生きる希望をなくして、人を信用できず、感情が大きく揺れ動かない表情の演技は素晴らしかったのですが、喋り方のせいか損している気がしました。彼の主演作で今年公開の『五億円のじんせい』が割と評判がいいので、改めて彼の演技を観てみようとは思いましたが、本作ではキーパーソンである彼の喋り方があまり受け付けなかったという次第です。

テーマ性としてはかなり好きな作品でございました。
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