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ジョン・ウィックのKubricのレビュー・感想・評価

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)
4.1
公開当日に鑑賞。全米では低予算ながら批評家から高評価を得た、バイオレンスアクション、「ジョン・ウィック」。この作品のヒットの要因は近年のアクション映画に欠けているシークエンスに、銃とカンフーを合わせたガン・フーというガン=カタに並ぶ男子必見の燃える要素にある。ストーリーが単純と見るのはあまりにもナンセンスに感じる。この映画は伝説の殺し屋ジョン・ウィックが愛する女性のために足を洗ったという事実に着目するべきであって、その妻の最後の贈り物である犬・デイジーがゆえの象徴である。ジョンはその犬を殺されて怒りに燃えるわけだが、ここからが闇社会という面白い世界観をユーモアを取り入れて描いている事が興味深い。ステレオタイプなバイオレンスに欠けるハードボイルドが備わっており、美しい映像と、キアヌ・リーヴスの吟味が実に殺し屋という存在感を放っている。本作にかかっている製作費はわずか2000万ドルである。その低予算の中、思わずニヤリとするキャストにガン・フーといったアクション要素が詰まっている。パンフ購入者にはこのガン・フーの説明が丁寧にされているが、基本ガン・フーは最強ではなく、至近距離で一丁の銃を両手で胸の前で構え、装填を早くできるという有利さがある。「イコライザー」などで見られた主人公の超人ぶりはゲンナリしたが、ジョン・ウィックは普通にダメージを食らえば痛がる。リアルだ。しかも手当も自分でする、闇社会におけるランボーである。ましてや引退してた身なのに、あの腕前。現役時なんて組織を壊滅させるほどである。元々「マトリックス」のクリエイターが集結してる本作、ウォシャウスキー監督の元で育ったスタッフ達のなかで本作の監督、チャド・スタエルスキは続編でも続投するので期待は膨らむ。ロシアンマフィアのボスに扮するミカエル・ニクヴィストは「ミレニアム」三部作、「MI:G」の悪役が記憶に新しいが今回も中々のキレっぷりで楽しい。脇を固める、イアン・マクシェーン、ジョン・レグイザモ、ウィレム・デフォーなんて強面すぎて映画ファンのツボを射ている。特にジョン・レグイザモの存在感と、イアン・マクシェーンの静かなる恐怖感は物語にいい影響を与えている。そして、ジョン・ウィックに扮したキアヌ・リーブス。「47RONIN」で赤っ恥をかいたが、これぞ、孤独に闘うキアヌそのもの。キアヌのクールで無駄のない本気の演技はそれだけで最高である。「怒りのデス・ロード」もそうだが、映画は説明的でなく、画で物語を描いている。前者も含め、一般的な目線で本作を浅はかな物語と捉えるのはハリウッドフランチャイズ映画のファンか、よほどのB級映画好きである。
総評として「ジョン・ウィック」は今年の公開作では「アベンジャーズ」、「ジュラシック・ワールド」の大作に挑戦状を叩きつけるコアな傑作である。映画に欠かせない世界観と音楽の融合に、ガン・フーという可笑しなアイデアに脱帽する。今後、キアヌ・リーブスのアクション俳優という枠でなく、クールなキャラクターの代名詞を続々と演じてもらいたい。素晴らしいキャストと世界観で完成された、クールなバイオレンス映画として最高レベルである。