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ジョン・ウィックのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)
3.7
 最愛の妻ヘレンを病で亡くしたジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)。友人マーカス(ウィレム・デフォー)らの慰めはあったものの、彼の深い悲しみが癒えることはなかった。ある日、ジョンのもとに、デイジーという名の小さな犬が届く。ジョンには愛すべき存在が必要と考えたヘレンが、亡くなる直前に贈っていたのだった。デイジーと共に暮らす中で、次第に穏やかな気持ちになっていくジョン。しかしある日、ロシア語を話す男たちから彼の愛車マスタングが目を付けられてしまう。冒頭、車がゆっくりと壁にぶつかり、中から主人公らしき人物が出て来る。彼は全身血だらけになりながら、スマフォを取り出して、懐かしい妻との思い出の動画をしばし眺める。パネルには血がつき、彼はその場に気絶するように倒れて寝てしまう。早く犬を登場させなければ物語は進んでいかないのだが、この導入部分の描写がとにかくトロいのだ。ようやく犬が配達されてきた。宅配業者にサインするところも別にカットして構わない。そこには愛した妻からのメッセージが添えられており、その文章を読んだ瞬間、男は涙する。

 素晴らしいのはキアヌの唯一無二の親友であるヒットマンを演じたウィレム・デフォーである。冒頭から妻の葬儀に顔を出し、ヴィゴに2億円でジョン・ウィック殺しを依頼された苦悩する人物を、ウィレム・デフォーはその身体に刻まれた皺や彫りの深い表情で演じている。他にもヴィゴの息子のボディガード役の元WCWのケビン・ナッシュとか、脇役が素晴らしい。アクション・シーンも中盤くらいまでは凡庸に期したが、後半の息子のブルックリンのアジトにキアヌが攻め込む場面はなかなか見応えがあった。あそこだけは唯一、身体と身体をぶつけ合う肉弾戦とは違う、銃による距離の設計による高揚感を感じた。
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