鹿江光

ライト/オフの鹿江光のレビュー・感想・評価

ライト/オフ(2016年製作の映画)
2.0
≪40点≫:スイッチ&ゴー。
心霊ホラーに必要なのは“法則”だ。それにより<出来ること>と<出来ないこと>の区別が付き、物語に“制約”が生まれる。ただこの法則、序盤で明らかになってしまっては意味がない。明確にするタイミングを誤ると、展開はあっという間にパターン化してしまう。
ある一定の条件下で出現する悍ましい存在…今回の場合は「暗闇と光」がキーワードだ。ただ法則が序盤で分かってしまうため、視聴者は「この場面展開の後は、必ず幽霊が登場する」という流れを安易に予想してしまう。そしてそれは常に予想通り。「いつ幽霊が出てくるのだろう…」という緊張がまるでない。つまり、残すところの楽しみは、「主人公たちが“制約”の中をどう生き延びるか」である。
ここまで来るともはやホラーではなく、サバイバルスリラーと言った方がしっくりくる。人物が互いに知恵を絞りながら、ギリギリの状態で敵と対峙し、時にはドラマチックなタイミングで危険を切り抜けたりする。本作の場合は、幽霊サイドもかなり狡猾でやんちゃな手口を使ってくるから、なんか人間同士の攻防戦を観ているようで、「理解の及ばない恐怖」という存在の旨味が全く出ていない。
まぁでも物語としては破綻せず、スッキリ90分以内で収まっているので、そこまで駄作ではない。落としどころの予定調和感が否めないが……。
鹿江光

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