くりふ

まじょとねこどん ほうきでいくよ/まほうのほうきのくりふのレビュー・感想・評価

3.5
【魔女の宅空便】

Amazonプライム・ビデオにて。2012年作、ジュリア・ドナルドソンの絵本をアニメ化した25分の短編。日本では(当時)本年になって、NHK Eテレで放映されたようですね。

Amazonでは原題の『Room on the Broom』にて配信。“箒の上の部屋”という意味で、最後までみるとナルホド、と意味がわかります。

空飛ぶ魔女は、箒の上から何度も、落し物。拾ってくれた動物たちは皆、箒に乗せてと頼み込むが、相棒のねこどんはいつも、首を横に振る…さてさて、というお話し。

原作絵本の、絵本特有、読者の空想で世界を広げてゆく余白はなくなりましたが、親子で親しめるホンワカ話で、ホンワカできます。

2003年発行?の原作より“寛容”の要素が強まったところに、時代の移りを感じます。

アニメーションは丁寧ですね。制作のマジック・ライト・ピクチャーズって知りませんでしたが、本作はフルCGのようですが、パペットアニメ風の動きに寄せ、手作りの暖かみを出しています。

こうしたアナログの生かし方は、生かし続けて欲しい。パペットアニメなのに、ソリッドな実写表現をつき詰めるライカ作品と比べると逆転現象のようで、面白いです。

『魔女の宅急便』アニメ版の影響はかなり大きい、と見ました。あのスピード感、飛翔の快楽。本作はそれをキモチよく継承していて、一番の見どころだと思います。日本の魔女宅実写版は、完全に負けておりますね(哀)。

配信は吹替えでしたが、原語版はサイモン・ペッグのナレーションで、ジリアン・アンダーソン、ティモシー・スポール、サリー・ホーキンスといった揃いで、何気に豪華。ナレーション以外は、オノマトペみたいな台詞ばかりで声、誰でもいいのにって感じですけどね。

原作の絵柄に倣ったキャラクターに、好みは分かれるでしょうが、トータルの完成度からすれば、小さなコトなのでは、と思います。ところで原作は“ゆくよ”だが、映像化邦題はあえて変えたのかな?

<2018.6.27記>
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