TAK44マグナム

サイレント・マウンテンのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

サイレント・マウンテン(2011年製作の映画)
3.0
自業自得!!


2019年はまさに公開された映画が大豊作の年だったかと思います。
現時点では45本しか劇場では鑑賞できていないのですが、そのどれもが個人的に標準作以上の出来映えでしたので大変満足。
しかしながら観に行けるチャンスがあったにもかかわらず、結局行けずじまいで後悔している作品もありましてね。
それが何かというと、「アラジン」でも「天気の子」でも無く、邪悪な人形たちがわんさかと人を殺害してまわる「パペットマスター」だったりするのが自分らしい!
相当グロいともっぱらの評判だったので観られず悔やんだのですが、そんなゴアゴア映画の監督は誰なのよ?と思ったら、かつて「死霊のはらわた」をコピーした「悪霊のはらわた」を撮ったソニー・ラグーナじゃありませんか。
たしかに作品の質云々よりもゴア描写だけに心血注ぐような変態監督に思えたのですが、そんな彼の初期作品がシンプルなスラッシャーホラーの本作でして、やっぱり人体破壊やら血しぶきにのみ注力したポンコツっぷりでした。
でも不思議と嫌いにはなれないタイプなんだよなぁ〜。

さてさて、それではどんな感じなのかと申しますとですね。
この時点では、まだこなれていないというか、全体的に荒削り。
好きなジャンルを思いきりやってみたい!という気持ちの方が先行している、そんな感じを受けました。
前半の展開をもう少し早くして60分程度の中編に縮めたら観やすくてよろしいような気がします。


(たぶん)ミュージシャンの主人公ウィノナ。
煮詰まっているのか調子がでない彼女の為に、マネージャーが生まれ故郷のロッジを借りてあげます。
そこでリフレッシュして良い仕事をしてねって事なのでしょうけれど、この気持ちが裏目にでてしまうわけです。
なんといったって、そこには謎の殺人鬼が潜んでいるのですから!
しかもこの殺人鬼さん、食人鬼でもありまして、殺した相手を食べるんですね。
つまり彼の殺人行為は食べるための「狩り」に他ならぬわけです。
何故か銃弾うけてもビクともしないんですけれど何者だったのか、よく分かりませんでした。あんまりな寒さに気が狂ったオッサンだったのか、それともまさかのプレデター的宇宙人だったのか・・・普通にスキー場のリフト乗り場とかにいそうな格好でしたけれど。

ウィノナは息抜きで街のバーに行き、そこで元カレのリックと再会、1人ではさみしいのかロッジに誘います。
リックとその友達カップルの計4人でプチパーティ後、悩んだリックはウィノナの部屋を訪ねます。
そこで待っていたウィノナも満更ではないご様子。というか、ヨリを戻したい気分100%じゃないですか。
めでたく(?)2人は寒さも忘れて合体、オッパイのサービスもあります。
スラッシャーのお約束を頑なに守っていますね。感心、感心(苦笑)
しかし、そんなことやっている場合ではないのです。
外では殺人鬼が「よし、そろそろ狩るかな!」とお腹を空かせているのですから!
そこからは「どうよ?俺のゴアゴアぶりは!?」と監督が思っていたかどうかは知らんですが首チョンパやら内臓デロリンパ大会の開催ですよ。
でも、キルカウントは多くないのでそこまでのレベルでもないです。
ただ、さっきまで愛し合っていたリックを見つけたら、頭はないわ、はらわたは無造作に出っ放しだわで、ウィノナの心中を察すると切ないというか悲しいというか、ゲロ吐いてもおかしくない酷さ。
逃げている時も物凄くビョ〜ンと伸びた鼻水が垂れちゃったりして恥ずかしいし、あまりの不条理と戦うウィノナが可哀想になってきますが、不条理だと思っていたら割とウィノナの自業自得ぶりが判明したりします。
そもそも、うっかりさんなお前がいけないんじゃないのか(汗)
殺人鬼にしてみたら「てめー、ふざけんな!」と怒っても仕方ないんですな、これが。
元カレが食われてしまったのも、鼻水が垂れたのも全部、自分のせいだよ!
ウィノナは反省しなさい!
漢気ありそうで役立たずだったマネージャーもとんだトバッチリだよ!


すぐ後ろを殺人鬼が通っても全く気がつかないなどヘンテコなカットも多く、かなり前半がかったるいのがネックですが、低予算のスラッシャーとしてはまずまず観れなくはない映画でした。
面白いか?と訊かれたら首を捻ってしまう出来ではありますが、豪快な斧さばきで首が吹っ飛ぶところなんかは好き者にはたまらんカットでしょう。
ソニー・ラグーナにはこの路線でドンドン突き進んでもらって、いつかゴアの神的な傑作をモノにして欲しいですね。


アマゾンプライムビデオにて