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胎児が密猟する時のninjiroのレビュー・感想・評価

胎児が密猟する時(1966年製作の映画)
4.2
一瞬は今より永遠に、永遠はその一瞬に帰結する。

ただ一室にて繰り広げられる監禁と暴虐と、愛欲に届くと見せかけて、孤独は高笑いして醜い死体を高く高くに吊り上げる。
男には包み込まれた記憶はあっても、真に誰かを包み込む術を知らない。
状態をカリカチュアして理解し、それを模擬的に試行する事は出来ても、理解のできない苦しみを、何かに例えて理解しようと苦しもうとも、記憶の向こうにある真理には到底辿り着けない。
鞭打つのは上気した劣勢、護るべきは疑わしき本来。危険な匂いは部屋いっぱいに立ち込めて、仮想の隷属は頬張った矛盾を小さな口から逆流して勢い吐き出すか黙して呑み込むか。

泣き叫ぶ子等、包み込まれること無くして産まれた理念はない。原罪という概念を如何に捻じ曲げても人の営みという個々の事例を包括することは叶わず、矛盾を承知で凡ゆる人に害なすものを即ち罪と云う。
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