雨音

bird call バードコールの雨音のネタバレレビュー・内容・結末

bird call バードコール(2005年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

〜あらすじ〜
いじめや幼少の体験が原因で悩むふたりの女子高生と、彼女たちの支えになろうと揺れ動く男子高生の友情を描くドラマ。


いじめ、壊れていく心。
友人の死、消えた恋人。
ヒリヒリとしたストーリーのなかで
田中圭さん演じるサトナカは救いだ。

出演シーンはほんの僅かなのに存在感抜群で、再度見返したとき
「こんなに、少なかったんだ」
と驚くほどの重要な役。

心が壊れてしまった園子。
自分を傷つけなきゃ生きられないみゆき。
2人の少女の苦悩を受け、支えになろう、守ろうとしてくれるサトナカはとても魅力的なヒト。

サトナカと園子のメールでのやりとりのシーン。
ナレーションで聞こえるサトナカの声は低音だけれど温かく、優しくて彼に惹かれていく園子の気持ちがよく分かる。

柔らかな見た目とは裏腹な自転車を漕ぐ腕の筋肉。
包容力と強さ、優しさの融合したサトナカは真っ直ぐなようで、どこかミステリアス。

彼の出てくるシーンは殆どが回想シーンでいつも柔らかい光に包まれている。

唇の弾力がよくわかるキスシーンが2度ある。

園子に向ける屈託のない笑顔。
みゆきの辛い過去を聞き、救おうとする姿を観ているとサトナカという人物がどんどん好きになっていき、消えたサトナカはどうなったのか。
彼にまた会いたい。
見進めて行くうちに、園子と同じ気持ちになっていく。

ラストの2人のメールシーン。
これまでと違いナレーションが無く文字のみ。
お陰でここまでサトナカに募らせてきた思いがどんどん増していく。
メールの中の彼は変わらずに優しくて、あの低音だけれど甘い声を早く聞きたい思いが高まりながらのラスト。

メールでサトナカが伝えていた
「ぼくは少し変わりました」
その意味が分かるシーン。

高校時代のサトナカと今のサトナカか交互に映し出される。

園子の前に現れたサトナカの笑顔は変わっていない。
でも明らかに変わっているその姿に、彼のこれまでの人生を思い涙が溢れる。

セリフも程んどない一瞬のシーンで、毎度ボロボロと涙が溢れる。

サトナカが生きてきた空白の時間。
その時を経て、園子に向ける変わらぬ笑顔。
彼の強さ優しさが溢れる表情が、観賞後もずっと残っている。

出来ることなら空白の時間をサトナカ目線でもうひと作品つくっていただきたい。

〜メイキング〜
スタッフさんの動き、監督からキャストへの指示。
作品が作られて行く肯定が観られる。
短いけれど良い。

圭さんへのインタビュー。
劇中に出てくる姿とは違う顔立ち。
オンオフでこれ程までにと思うようなゆるーいお顔。

自転車の2人乗りシーンでは
奥田恵梨華さんに「大丈夫?大丈夫?」と聞く声が優しい。

バスケ指導の方への礼儀正しい挨拶。
指導されて勘の良さを見せるバスケシーンの裏側。
いろいろと器用な人だなぁと思う。

大きな声や明るい声。
クランクアップのありがとうございました〜が「あじゃじゃじゃじゃ〜」
って勢いだけになるところ。

少量だけれど好きなメイキングだ。
雨音

雨音