TAK44マグナム

ゾンビーバーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ゾンビーバー(2014年製作の映画)
5.0
 あのイーライ・ロスの大学での同級生であり、いまも仲良くお友達なジョーダン・ルビン監督の、名前のとおり冗談で作ったようなゾンビ・パニック・ホラー。

いつもの如く、謎の汚染物質が間違って川に!
いつもの如く、それが原因でゾンビ化現象が!
いつもの如く、森の奥の山小屋へやってきた、セックスのことしか頭にないボンクラ学生たちが!
いつもの如く、ゾンビたちに襲われる!

・・・そう、本作はそんな風な、一体いくつ作られているのか分かりゃしないゾンビ映画なのですが・・・
ゾンビはゾンビでも、襲い来るのはゾンビーバーなのです!!
ゾンビーバーって、なんじゃそりゃ!?と思ったそこの貴方!
ゾンビーバーとは読んで字のごとく、ゾンビ+ビーバーの事ですよ!マジで!
かわいいビーバーちゃんたちが、汚染物質のせいでDNAがおかしくなって、最凶最悪な不死身の齧歯類に変貌しちゃったのです!!
ビキニのオネエチャンたちを食べようと、白目をむいて飛び掛かるゾンビーバーたち!
ボンクラ学生たちVSゾンビーバーたちの生死を賭けた戦いのゴングが、製作費がかからなそうな森の中で鳴り響いたのであります!!

CG全盛のこの時代にあって、ゾンビーバーは全てパペット!
つまりはお人形です!
監督曰く、「クリストファー・ノーランだって出来るだけ本物に拘るだろ?CGじゃないほうがリアルに見えることもある。だからこの映画ではパペットを使ったのさ」
と、あのノーラン監督まで引き合いに出して説明しておりますが、パペットということは本物のビーバーではないわけで、分かったような分からないような感じです!
でも実際、CG製のゾンビーバーだったら、本作ならではの「狙った下らなさ」という雰囲気が出なかったであろうことは間違いないでしょう。
まさしく監督の狙い通り。
さすがイーライ・ロスのお友達、信用に足りる男ですよ!

脚本のジョンさんとアルさんも、(役者さんのアドリブも多かったみたいですが)台詞のキレがあるし、中だるみもしないので良い仕事をしていますねえ。

そんな信用できる監督や脚本家が腕を振るった映画です、面白くないわけがありません!

登場人物はボンクラ学生六人組に加えて、全編通しても+四人の十人しかいませんが、みんなキャラクターがよろしい。
特に学生たちは能天気ながらもゾンビーバーと対峙してからは必死になり(当たり前ですが)、薄~く描かれた愛情や友情がちゃんとドラマに絡むのもマルです。

ホラー映画のセオリーをぶち破っての、「誰が生き残るのか?」の予想がつきにくい展開も、各々の無残な死にっぷりも、ド定番のラストまでゲラゲラと笑えてサイコーでした!
夜中にひとりで観ちゃいましたけれど、出来ればこういった映画の楽しみ方を知っている同士でツッコミいれながら観るのが、本作の正しい鑑賞法ですね。

ちなみに、ゴア描写もありますが、最近のリアル志向のゾンビ映画と比べればそれほどグロくもありませんでした。
ただちょっとチ○○が喰われたりするだけなので安心です!

終盤、「そりゃゾンビものだから、そうなるよなあ」という怒涛のクライマックスへと雪崩れ込んでゆきます。
もう、ここらへんは怖いというより完璧に笑いをとりにいっているとしか思えません!
だって、どうしてゾンビーバーに噛まれたからって、○っ○になって、しかも○っ○まで生えてくるのか??
これがゾンビ界の常識だとしたら、もしもゾンビ象に噛まれたら鼻が長くなるってことだし、ゾンビスカンクに噛まれたら屁がとてつもなく臭くなるって事じゃないですか!
こんな新常識をうちだしてくるとは半端じゃないセンス!などと思ったりもしましたが、そういえば大昔のゲテモノホラーって、みんなこんな感じで科学的根拠のないデタラメばかりを並べ立てていたような気もしてきました!
物質電送機にハエと入っちゃったら、何故か頭と手だけがスケールはそのままにハエになっちゃったとか!
そんなわけないだろう!とどこかの変態監督がジェフ・ゴールドブラムをグチョグチョモンスターに変えちゃったりとか!

とにもかくにも非凡なセンスをお持ちなことは決定的なジョーダン監督。
どうしてこんなカルト映画をいま作ったのかと問われると、「こんな時代だからこそ、こんな映画が必要だからさ」と、これまた分かったような分からないような、カッコイイ答えが返ってきたそうですよ。
何だか分からないけど、愛しているぜ、ジョーダン・ルビン!
なんてったって、いきなりオッパイ出てくるしな(笑)!

最後に、どうしても書いておかなければならないことがひとつだけあります。
この映画を観た誰もが同じだと思いますが、エンドロールで流れる「ゾンビーバーのテーマソング(タイトルは知らんけど)」が恐らく人類の歴史上、最高にクール且つくだらない曲で、耳に残っちゃって仕方がないのDEATH!!
♪ゾンビーバー ネタバレ禁止~♪
などと、これ以上ないぐらいの能天気さに心が震えました!!
ブルーレイのトップに、わざわざこの曲をエンドレスで流す項目まであったりして、作り手側も相当な自信作なのでしょう!
Amazon限定でサントラ付きブルーレイも販売されたのですが、たった限定50セットのために速攻売り切れで買えず!
50セットって、少なすぎるよ!既にプレミア価格になっちゃってるよ!!
まあ、エンドレスで聴けるからいいけど!

このテーマソングもそうだし、オープニングのタイトルデザインとか、全体的な映画のトーンがポップで、個人的に非常に好みでした。
なので、映画としての粗削りな部分はこのさい無視して、評点は最高点という羽目に(苦笑)
眠かったはずの夜中に、あれだけゲラゲラ笑かしてもらったので仕方ないですね。
楽しい映画でした。ありがとう、ゾンビーバー!!


セル・ブルーレイにて