シエル

デュエルのシエルのレビュー・感想・評価

デュエル(1976年製作の映画)
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歌わないミュージカルあるいはMV。
演劇をカメラに収めているという感じ。
俳優が演劇しているところを撮ったドキュメンタリーのようでもあって、むしろそのように見た方がおもしろいかもしれない。

ファンタジックなストーリーだけどファンタジーになりきらず、事件モノっていうわけでもない。なんだかよくわからない、独特の世界観と言えばそう。

役者がフレームインしてくるのでなく、カメラが役者を迎えに行ってフレームインさせる、みたいな動きのあるカメラワーク(呼び名があるのかもしれないが、知らない)が、より演劇性を高めている気がした。

ビュル・オジエもジュリエット・ベルトもかわいくてほれぼれする。衣装も含めてビジュアルはよかった。

“実は別に何もないんだけど何かあるかのごとく事件ぽいものをでっち上げて、事件モノのパロディをやっている“みたいな感じ。他の作品にもそういうところがあるけれど、本作は特に、おふざけを大真面目にやっているみたいな印象を受けた。本作においてもっとも重要なアイテムである石なんて夜店のおもちゃのようだし。

リヴェットの作品はわりと好きなはずなのに本作は途中でちょっと飽きてしまった。たった2時間なのに。(映画館のシートが身体に合わず集中力が切れたせいもあるかも)

登場人物はキャラクターとしてだけ存在する感じで、内面はほぼ描かれないから飽きたのかもしれない。
たぶん私はリヴェット作品に出てくるパリが好きなのかも。本作はあまり街に出ないのでそれで退屈したということもおそらくある。

劇伴のピアノが現場で演奏しているのがいいのか悪いのかよくわからないけど(おもしろくはある)演劇っぽさを増していることは確か。

(2022年映画館20本目)
シエル

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