河豚川ポンズ

ショート・タームの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

ショート・ターム(2013年製作の映画)
3.9
ブリー・ラーソンの才能を感じる映画。
「ルーム」を観てブリー・ラーソンを知って、そしたらこれが評価高いということだったんですけど、なんかブリー・ラーソンってこういう暗いテーマの映画多いですね。

様々な問題を抱えるティーンエイジャーを更正させる施設「ショートターム12」。
ケアマネージャーのグレイス(ブリー・ラーソン)、メイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)たちは子供たちと共に暮らしながら、同時に彼らの更正を促し、時には彼らの家庭の問題そのものに介入することもある。
そこに新しくジェイデン(ケイトリン・ディーヴァー)という少女がやってくる。
彼女は父親と二人暮らしで、自傷経験や突然パニックを起こすなどといった理由で、平日だけここで過ごすことになったのだ。
そんなジェイデンとも少しずつだが打ち解けていくグレイスは、彼女が実は父親から虐待を受けているということに気づくのだった。

元は短編映画だった物を長編にしたのがこの映画ですが、特別ストーリーに驚きやサスペンスやインパクトなどがあるわけではないです。
どちらかというと淡々と子供たちとグレイスが向き合い、それと同時に自分自身の問題とも直面していくという、言ってしまえばこの手の映画にありがちなストーリーです。
簡単に言うと日本の学園モノのドラマですね。

しかしこの映画の素晴らしいところはそれまでの過程、問題を捉え葛藤し、折れたり立ち向かったり、時には無謀な行動に出たりといった、彼女たちのもがきが上手く描かれているところだと思います。
そして、何よりそれを演じきるブリー・ラーソンのセンスや才能があってこそのことだと思います。
とてつもなく聖人君子というわけでもなく、彼らの親というわけでもなく、彼らの姉や友人のような、普通の人としてのケアマネージャーの役回りを上手く表しているのでしょう。
この映画があったからこそ「ルーム」に抜擢されたりということがあったんだろうなあと感じさせてくれる映画でした。

公開が控えてる「キングコング」とか「キャプテン・マーベル」は、少しでも明るい内容だと良いなあ。