あるぱか

ショート・タームのあるぱかのレビュー・感想・評価

ショート・ターム(2013年製作の映画)
5.0
終わったと同時に、これが映画だったのだと正気に戻った。凄まじいまでの人間ドラマだった。このストーリーの登場人物に比べたらずっとずっと“恵まれた”環境で育った自分が、同情するなんで論外だし、ましてや救いたい、理解したいなんておこがましい。
結局、痛みを分かち合ってその人のことをわかってあげられるのは、同じ痛みを知っている人間だけで、それ以外の人間は傍観者でしかない。だけど、例えばネイトのように(彼ももしかしたら人には言えないような過去があるのかもしれないが)、少しずつ溶け込んでいくことはできるかもしれない。時々、こんな映画をみなければいけないと感じた。例えばもし自分がそのような状況の人に出会ったら、どうする?自分の住む世界とは違うと、相手にしない?

この映画の、主人公を含めそれぞれフォーカスが当たる人間達は最後は救われる。将来どうなるかは置いといて、映画が終わる時点で明るい未来が待っている。だけど、現実はそうは行かずに終わる人も多いのだろうと悲しくなる。

ホームビデオのようで、流れる映像にリアルさを感じ、すぐそこで起こっている現実として受け止め、この世界で奔走するグレイスを見ていたいと思った。温かみのある色調が重たいテーマをオブラートに包む。
ルームといい今作といい、大変な境遇の女性を演じるブリー・ラーソンますます好きになった。

シラフ状態でもう一度見直しました。やっぱり素晴らしい映画。でもめちゃくちゃ酔っ払った状態でみたら、ほんとに映画であることを忘れてた(それほど魅入った)自分がいたので、こうやって観るのもありだなぁと思った次第でございます…
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