次男

薄氷の殺人の次男のレビュー・感想・評価

薄氷の殺人(2014年製作の映画)
4.2
これは、すごい。
これを、こう撮ったのがすごい。
じくじく大興奮。「映画」!

ストーリーだけを追うなら「地味で凡庸な殺人事件、しかも寡黙で判然としないもの」。なのだけど、これが映画になると、それが、途端に傑作に変わる。

思えば、本編が始まったその瞬間から違和感があった。黒バックにクレジットが淡々と現れる。続く無音。むむ…?って姿勢を正してから、「地味だけど特筆すべき演出」の続くこと続くこと。主観で荷台から落ちたり、手のカットをかぶせたり、瓶がどこまでも落ちていったり、美容院の名シーン、大胆な時間飛ばし、極彩色で大胆なライティング、本当に枚挙にいとまがない。ラスト10分くらいなんて、教科書に載せるべきでしょう。「特異な例」として。

どの作品に似てるとか、どの監督に似てるとか、はばかられるよ、あと「不穏さ」とか「不気味さ」とか「難解」とか「不可解」とか単語で言い切るのもはばかられるよ。「映画的表現」だと思うので。

泣く、怒る、悲しむ、楽しむ以外の感動を味わった。味わったけど、何味かわかんないけど、間違いなく感動してる。

◆◆

(ファムファタールなグイ・ルンメイさんが大好物すぎてやばい。GFBFのときはそない思わなかったのに、今回、やばい、超好きだ。赤くなった鼻、口を隠すマフラー。あと、眠たそうな目。{グイさん見て気づいたけど、僕は眠そうな人好きだ。メラニー・ロラン、エマニュエル・ベアール、ゴフシフテ・ファラハニ、グイ・ルンメイ、みんな眠たそう。眠たそうな人好きだ。}グイさんじゃなかったら、ブスな誰かだったら、こんなどっぷり浸かって観れへんかったかもなあ…。こんだけ褒めといてお恥ずかしい限りけど)

◆◆
ネタバレ
◆◆




白昼の花火。
白昼の花火ってどういう意味で捉えたかマジレス大会したい。

僕は、「不本意な境遇にあること」と思った。1999年、バー・白昼の花火の名前を見たとき、ウーさんそう思ったんじゃないかなあ。だから、店の名前もしっかり覚えてたのかな。そのあと、バーに辿り着いたジャンも、そう思ったんじゃないかなあ。

ラストシーン、上がり続ける白昼の花火は、「不本意な境遇にあること」、のさらに続きの、「それでも打ち上げ続ける」なのかな。ジャンからウーへの、エールと告白、……うん、だめだ言葉にすると安っぽくなる。言葉にしなきゃよかった。「映画的表現」で留めておくべきだ。


でもマジレス大会したい。
次男

次男