もっちゃん

ゼロの未来のもっちゃんのレビュー・感想・評価

ゼロの未来(2013年製作の映画)
3.7
テリー・ギリアムの溢れんばかりのイマジネーションがもう主張が強すぎるぐらいでおなか一杯。

近未来。いままで見てきたギリアムの未来の中では一番「ユートピア」に近いように感じる。奇抜なギミックでぎょっとする部分もあるが、あれは「ディストピア」ではないんだろう。ヘンテコな標識や電光広告、未来のエロサイト。まあどれも楽しげで抵抗感はない。

だが、ギリアムのテーマとなる社会風刺は健在でもある。天才コンピューター技師コーエンの家に取り付けられた監視カメラ、一向に終わらない労働。監視社会の中で生きる我々を風刺しているようだ。いつも誰かに見られているような感覚の中、仕事に出かけ、家に帰り、また仕事をし、寝るのスパイラルの中で無限のスパイラルの中で我々も生きる意味みたいなものを探している。

電話で突然誰かに生きる意味を告げられることを待っているコーエンはそんな私たちを映した鏡のようである。変な息苦しさの中で意味を見出さなきゃ生きていけないほど自己疎外に陥っているんだろう。

1か、100かで評価される世界より0の世界のほうがいい。全くの「無」。意味に囚われて、数字に囚われてがんじがらめの中生きていくぐらいなら、ゼロの中生きたほうが実は生きやすいのかもしれない。