J四郎

ゼロの未来のJ四郎のレビュー・感想・評価

ゼロの未来(2013年製作の映画)
3.6
鬼才テリー・ギリアムが未来世界を描くSF作品。
とくれば有名な「未来世紀ブラジル」を思い出すが、今回も独特で毒気の効いたイヤ~で楽しい近未来を見せてくれます。冒頭で目を引くのはネットのくっだらねぇ広告が具現化したような街の景色。映像で観る分には楽しいけど、実際あの中で暮らすのはうんざりするな。

主演はあのクリストフ・ヴァルツ。今回はスキンヘッドの暗いオッサンを怪演。このオッチャン、見た目も特異なら引きこもりで人間関係を拒絶しているかなりアレな人。普通なら暗くキモいヤツになるが、ユーモアで茶目っ気すら感じるのはさすがの演技力です。

この物語はギリアム作品らしくけっこう難解。集中して観てないと置いていかれます。監督が特典映像で語っていたが、主人公は周りの雑音に疲れ果てた男で、その雑音から逃げたいっちゅうこと。そこへ望んでもないのに関わり合いになる来客が現れて・・・と。

ぶっちゃけこのスキンヘッド男は引きこもりのオタクってことなんだろうね。周囲との関係を断って家でゲームばかりしている男にみえる。そんな男が閉じた世界で人生の意味なんぞ待ってても何の答えも出てこねぇよ!って言われているようだ。俺はここまででは無いが、その傾向があるんで耳が痛い。

そういえば来客の一人にボブって少年がいる。このボウヤ、演技では流石にクリストフ・ヴァルツには及ばないものの、凄い存在感。アレ?どっかで見たな?と思ったら、先日観た「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の甥っ子役のルーカス・ヘッジズだった。この時代から演技力が光っている。

なんというか面倒くさいSF映画なんで、誰でも楽しめるタイプってわけではない。でもコレ、色々と考察するのが好きならハマる人はハマりますぜ。
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