三畳

ゼロの未来の三畳のレビュー・感想・評価

ゼロの未来(2013年製作の映画)
4.1
新興宗教、陰謀論、自然派etcがのさばる仕組みって
・独創的な世界観→見たこと聞いたことがない→自分だけが知っている特別感
・現状否定→共感、危機感→説得力
みたいなポイントがありそう。
この映画は別にそのどれでもないんだけどそれらに思いを馳せた。
テリーギリアムは世界観を構築することにかけては随一だからこういうのと相性がいいんだろう。

ギャグと風刺は過剰さによってウケる。執拗な広告「あなた以外はみんな金持ちになっている」「チャンスを逃すな」「最大100%オフのセール」「幸せを掴むセンスを磨け」・・・
侵入禁止の標識、禁煙禁酒ペット不可飲食不可・・・🚷🚯🚳🚱🔞📵🚭

賽の河原を思わせる、無限で空虚な任務に追い詰められていく社畜主人公、一人称は「我々」を徹底する主語デカ男。
我々は、自分だけが特別だと知らせてくれる電話を待っている。

だれか達からだれか達へのメッセージよりも、あなたからわたしへの言葉を信じたいよね。

全ては制御され、選択肢はありすぎ、時間は足りない。誰を愛しますか?


各々がタブレットからイヤホンで音楽を楽しむ、華々しいコスチュームとかけ離れた静かなパーティー(楽しいんか?)


洗脳が解ける瞬間は美しいな。バーチャルリアリティの、リアルなだけのバーチャルだとわかる違和感、ちっせぇ入り江ゆがんだ空、永遠に静止した夕方、その時間が正しく進み出す時。

風刺というのはざっくりした揶揄だけで、ウケるのは心のどっかで元からわかってることだからだし、ハッと気付かされる視点もあるけど
じゃあどうするってとこまでは示してくれないから、今一歩心に響かないのがすごく惜しいけど(自分で考えよう)、
こんなオリジナリティあふれる警笛なら何度でも鳴らしてほしい、存在に拍手したい。全ての映画に、人間に、こうであってほしいとわたしは望んでいる。抽象的なシーンとかCGスタッフみんな監督の頭の中に描いてる映像を完全に共有して制作されたんだろうなって羨ましくなる。

実際GYAOって再生終わるとまた勝手に始まるから半日流しっぱにしてた。
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