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ブラインド・マッサージのmanamiのレビュー・感想・評価

ブラインド・マッサージ(2014年製作の映画)
3.7
ロウ・イエ作品5本目。「盲人と健常者を隔てる理由は簡単だ。盲人は光に曝され、健常者は陰に隠れる」その境界線を越えることはできない。では目に見えないものは?美しいものを見ることはできても運命を見ることはできない。そこに盲人と健常者の境目はない。わたしたちは見えないものに名前をつけすぎた。運命とか愛とかね。言葉を繰り出すことで目にした気になって、見えない不安をなんとかかき消そうとしている。けれど目に見えるものだけが全てではないと分かっている一方で、目にしたものを全て受け入れられる寛容さを持ち合わせてる訳でもない。見えるものではなく見たいものだけを見て、見せたいものだけを見せて、形のないものには名前をつけて目にした気になっている。わたしたちはずるい。「豚の角煮より綺麗だ」「美に恋することは愛ではない」美しさってなんだろうね。人の外見は中面の表れだとか言うけれど、そんなものはただの個人の尺度に過ぎない。「目の見えない彼らにとって、目に見えるものは真実ではなく、目に見えないものこそ真実だ」見えないからこそ本質が見えるのであれば、見えるからこそ本質が見えなくなるのかもしれない。それでも美しさを知りたいと思う?
(字幕の表記通りの言葉を使ったので不快な気持ちにさせてしまったらごめんなさい…)
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