Sinamon

ブラインド・マッサージのSinamonのレビュー・感想・評価

ブラインド・マッサージ(2014年製作の映画)
3.8
南京の盲人マッサージ院で巻き起こる人間模様を描いた映画です。

盲人の方々の恋愛や性への葛藤を描いている映画で今まで知らない事ばかりで驚きの連続でした。

盲人であるがゆえに強いられた状況を示す言葉が次々に突き付けられて盲人の方々はこんな事を考えながら生きているんだと思うと胸が苦しくなりました。 「俺たちだって人間なんだ、人間なんだよ」、「盲人は金を何よりも大切にする。物乞いをする盲人を見たことがないだろ、面子があるんだ」、「車と車がぶつかれば交通事故。でも人と人とがぶつかれば恋に落ちる。」と言う言葉には心にグサリときました。

画面は、時としてぼやけて盲人の方が見ているかのように演出がなされています。
目が見える人々との違いを意識して、盲人の方々からの描写もとても多く、目が見えないので音でかなり演出されています。
降りしきる雨の音、雨粒が落ちる音、人々の吐息、風鈴の音、セックスシーンの息遣いや、匂いに対する表現など細かな演出にこだわっていて盲人の方々が何を考え、毎日をどう生きているのか考えさせられる映画でした。

シャオマー(ホアン・シュエン)が性欲が押さえきれなくなり風俗店に通いつめる様子等を見ているとリアルだなと思いました。

実力はありながらも、長い間、役に恵まれなかったホアン・シュエンさんですが、とてもイケメン俳優さんでこの盲人の役がぴったりと合っていました。

実際の盲人の方々を多く起用しているとのことですが、この映画を観る事ができないのかと思うととても切ないです💧
自殺、切腹、吐血など辛いシーンもありますが、ラストは、ハッピーエンドで終わります。
観て良かったと余韻が残る素晴らしい映画でした。
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