だいざる

6才のボクが、大人になるまで。のだいざるのレビュー・感想・評価

4.5
はじめに
このレビューは長いです。
後半は私の甥っ子の話なんかも入ってしまって凄く長くなってしまいました。
その点ご留意ください。

ここからレビュー
この作品は凄い映画です。
昨年映画館で観て以来2度目の鑑賞ですけど、2度目でもやっぱり凄いなと思った。
映像技術が凄いとか、役者さんの演技が凄いとか、ストーリー展開が凄いとかそういう話ではありません。
じゃあ何が凄いのかというと、この作品はざっくり言うと6才の少年が18才で親元を離れるまでを描いた作品なのですが、普通は少年が中学生になったり高校生になったりしたらその年齢に合う別のキャストを使ったり、特殊メイクを施したり今だったらCGを使ったりすると思うんですよ。
でもこの映画は違うんです。
12年間の1人の少年の成長記録を全て同じキャストで撮影しているんです。
こんな撮影手法をとるのは後にも先にもこの作品だけでしょうね。
言い方悪いですけど、発想がクレイジーです。

ずっと“巣立つヒナ鳥を見る母鳥の心境”で観ていましたよ。(byスラムダンク)
「おっきくなったなぁ。おっ!声変わりしてるじゃん!えっ!?彼女できたの?なんだその長髪は!!高校卒業おめでとう〜!!」ってなもんです。

時の流れって残酷だなぁとしみじみ思ったりもしました。
この残酷さがよく伝わるのはメイソンJrの周りの大人たちの体型。
特にメイソンJrの母親の体型の変化は観ていて悲しくなってくる。
その役を演じたのは『トゥルーロマンス』でヒロインを演じていたパトリシア・アークエット。
かつては乙女、今では太め。by綾小路きみまろ
どんどんどんどんとふくよかになっていく体型を見て「時間の流れと重力って残酷ね。」と思わずにはいられなかった。

メイソンJrを取り巻く環境はこの母親の奔放な結婚観のせいもあってか波乱万丈。
詳しくは述べませんが、よくこの家庭環境で大きく道を外さず育ってくれたなぁと思います。私ならきっとグレる。

ビフォアシリーズでお馴染みのリチャード・リンクレイター監督の描く登場人物同士の会話の応酬と空気感がたまらなく好きで、それはこの作品でも随所に見られました。
2人の登場人物が歩きながら会話するのを前から撮るあの手法が至高。
演者さんもスタッフの皆さんもあの長回しは大変なのでしょうけど、その苦労に見合うだけの物を残してくれると思う。登場人物の心の距離感や空気感を見事に映し出してくれる。
知的で哲学的でありながらも、くすりと笑わせてくれたりするウィットに富んだ会話を聞いているだけでファンの心は弾む。
ビフォアシリーズがお好きな方はこの作品はハマると思います。

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ここから脱線していきます。
親御さんは我が子を見てふと思う事があると思うんです。
“気付いたら子供が大人になっていた。”
と。
時間の流れは早いし、止まらない。
私も先々月に4歳の甥っ子の運動会を観に行った時に、しみじみとそう思いました。
1歳の頃から欠かさず観に行く叔父バカは、その成長ぶりを目の当たりにするたびに毎年泣きそうになってます。
だって、最初の頃は歩くこともままならずマットの上で泣いてた子が、翌年には走れるようになり、その翌年には障害物競争みたいなのことが出来て、今年はお遊戯ですよ!
それに今年はかけっこの時に転んでしまったお友達を助けに行って立たせてあげて、一緒にゴールするのを見た瞬間に家族全員涙腺崩壊。
保護者の方々の温かい拍手も嬉しかった。
今思い出してレビューに書いていたら泣けてきました。
人生最良の瞬間だったかもしれません。
それくらいに嬉しかった。
そのまま優しい子に育って欲しい。
何かで一番になれなくても良い。人の痛みがわかる子に育ってくれれば。
なんの取り柄も人に自慢の出来るものもない私ですが、甥っ子2人のことだけは胸を張って自慢できます。
ただ一つ心配な事が。
会うたびに好きな女の子が変わってるのは結構心配。誰に似た!!笑

昨日出来ていなかった事が今日はできる。子供の成長の瞬間瞬間を見る事が親としての最高の喜びなのかなと思います。
実際私の弟(甥っ子の父親)が息子の話をしている時の顔は目は垂れて鼻の下は伸び口元も締まらないだらしない顔をしています。でもとにかく幸せそう。羨ましくてしょうがない。
まぁ良いんです。弟の子供なんて私の子供みたいなもんですからね!はっはっは。

この映画はそんな子供が日々成長していく姿を見守る事が出来る喜びを疑似体験できるという、なんとも素晴らしい映画です。
皆さんもメイソンJrの親戚になった気分で観たら楽しめると思います。

監督がこの作品を通して言いたかった事はラストでメイソンJrが言った言葉に凝縮されてると思う。
きっと親になってから観たらこの映画はより心に響くんでしょうね。
歳を重ねてからまた観たい映画。