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6才のボクが、大人になるまで。のmendeのレビュー・感想・評価

4.2
例えばビリー・ワイルダーやルビッチ、マンキウィッツ、スピルバーグなど、起承転結があり、伏線があり、ラストに盛り上がりがあるウェルメイドな映画。今作はそれらとは一味違う。

主人公の少年の成長にあわせて実際に12年間もかけて撮影したことによるリアリティだけの映画ではない。
実際の人生は映画のようにあるひとつの結末にむかって収斂していくようなドラマチックなものではない。あとに何もつながらない無意味なことばっかり起こる。そういう意味のないエピソードをあえて入れているようなところがあり、それがこの映画の大きな魅力になっている。

じゃあ、淡々としたクライマックスのない映画かというと、決してそんなことはなく、私は最後のお母さん(パトリシア・アークエット)の涙に、胸をつかれた。
主人公の成長物語でもあるけど、ママの男性変遷記でもあるなぁなんて見ながら思ってはいたが、あくまで見ている時の私の焦点は主人公の男の子に当たっていた。
それが見終わったあとから、ママの、彼女の人生についてつらつら考えるのをやめられない。

2番目の夫について、彼が登場した最初のセリフから「いやな奴」だと思っていたけど、まさかあの男と結婚するとは。でも彼女の状況を考えると仕方がない面もある。わかる。

いや、いや、もっと早く見るべきだった。素晴らしかった。
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