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6才のボクが、大人になるまで。のkeroleonのレビュー・感想・評価

4.4
こんな作品は誰も観た事ないんじゃないか!?
なんせ6歳の主人公を12年間撮影し続けて、ひとつの映画にまとめてしまった異作なのです。ここに、ひとりの人生が集約されてる。不可能に思えるこんな事が実現してしまってることがすでに奇跡!
監督の壮大な挑戦が素晴らしい。

夏休みを利用して、その1年に出演者に起きた出来事から脚本が練られていったんだそう。
映画のアートワークになってる、芝生に寝そべる6歳の少年・メイソンJr.くん。こんな愛らしいboyが、約3時間を通して18の立派な青年になります。どんなヴィジュアルに育ってくかは観てのお楽しみ♥︎私は、なかなか好みのお顔でしたw 彼が成長するたびに、気持ちは「あらま〜メイソン大きくなって!」と思ってしまう親戚のおばさん状態。
そんな彼を取り巻く複雑な家庭環境。お母さんはダメんずにひっかかり離婚を繰り返し、お姉ちゃんサマンサは時折真っ赤な髪で登場。
さらに実の父を演じるイーサン・ホークは、やんちゃでロックなパパ。このパパがね、良いんですよ!人生のアドバイスをちょこちょこメイソンくんに与える。彼の存在が、映画全体にピリッと絶妙なスパイスを加えてる。

ユニークなのが、あえて「○○年」というテロップを出さずに年代を見せる工夫。
アップルのマック製品(eMacから始まり、iMac、iPhone…)やオバマ大統領のキャンペーン、ハリポタブームetc.その時々の社会現象や事象をはさむ。さらに秀逸な選曲!オープニングはColdplayの名曲Yellow、時を経るとガガ様やGotyeなど、時代を象徴するヒットナンバーと共に、12年間を一緒に振り返れるのです。

この途方もない12カ年計画をカタチにした監督が伝えたかったメッセージ。もしそれがあるとしたら。。。ラストシーンのメイソン青年のセリフに全て凝縮されてると思う。そこに辿り着くために、この12年間の一瞬一瞬があったかの様に思えるほど。
そしてもう一つ。「自立した個を大切に」というテーマ。
この作品そのものが極めてパーソナルな個性に溢れた映画なので、(少年のリアルな成長を映像に閉じ込めるなんて、アイディアはあっても実現する人は他にいない!) この映画が、すでにこのテーマの答えになっているんだろうと思う。
刻まれつづけるこの瞬間を「生きる」ことが愛しく思える、圧倒的なリアルストーリー。必ずこの家族の誰かに、自分を重ねて観てしまう。
この映画に出会えたことが幸せ!

2014.9.10@試写
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