なすび

6才のボクが、大人になるまで。のなすびのレビュー・感想・評価

4.0
出ました!これぞ人生、映画!(まさにそうだけど笑)

12年間同じ俳優が同じ人を演じるということで何が生まれるのか、しかもドキュメンタリーではなくフィクションとして。確かに誰もが一度はやって見たいと思うことだ…!(よく出来たな!)

特に子どもの成長というのは一番繊細な部分で変化も大きい。そこがミッドナイト3部作とは違った部分で興味深いし難しい部分、大人は見た目でも演技でもある程度確立されていていると思うから。

自分が感じたのは、やっぱり12年間の中で子どもたちの変化は大きい!!!その不安定さが少し怖かったりハラハラしたりしたりしながら面白かった。というのは、最初に出てきた可愛くてふわふわしたメイソンを固定的に考えて自分の中で「理想化されたメイソンくん」がいて(普通の映画において固定的メイソンに似てる感じの俳優を起用するように)、でも思春期を経る過程において少しポッチャリしたりニキビ面になったり髪を長く伸ばしたり、実は本当の彼にやってもらう方がこちらの好みや理想とかけ離れたり、ブレたりする。でもそのブレをフィクションの型にはめるのではなく、その人そのままを受け取って映しているのが他の映画と違う。だから同じ人が演じているのに各年齢ごとのメイソンが全くの別人に見えたりした。しかもその変化が見ている方にはよく分かるのに、なんでそんな風になってしまったのか(何か憧れの人似せて髪を伸ばしているとか)は特に分からないので何とも不思議な感じ。ただ変わっていく様を動揺しながら受け入れていくのが今までしたことない体験だった。

見る前は「12年間同じ人が演じればもっと自然に成長過程が感じれるかも」と思っていたけど、むしろ本当の成長過程ってもっといびつで想像できないものなんだなということがわかって面白かった。これは自分に鑑みても同じなんだけど、ひとりの人の中には多面的な要素があって今日と明日で全くの別人に見えてしまう(なれてしまう)ことがある、ということだと思う。

(なんかわしの中で久し振りに長いレビューを書くのがブームみたいやな)

それは子どもから見て取れるだけじゃなくて大人にとってもそうで、特にイーサン・ホーク(ハァ…この映画のイーサンホーク好きすぎてどうかなってしまいそうなのでめちゃくちゃ語りそうやな自分…ということで深めの深呼吸)の変化はとても面白かった。
「若さ故の過ちで意図せずパパになってしまい経済的気持ち的に未熟なため離婚して離れ離れになってしまったが、子ども好きだし悪い人じゃなく音楽をこよなく愛すパパ」としてこれほど適役な人がいるでしょうか!!!若い頃はモテたんだろうなぁというカッコよさとでもなーんかカッコつけきれない小物感ダサさ、そしてそれらからくる男としての哀愁みたいなものがもう、たまらん……😫好きやねん…「ブルーに生まれついて」とかミッドナイトの二部作目とかも同じような感じ。何やろうね、イーサンホークの良さはそこはかとない。決して2枚目過ぎない人間臭さというか、もう少しどうにか上手く生きれただろうにもう少し成功できただろうに、そこに達するまで行けなかった敗者の陰りみたいなのがあって、楽しく自分の好きなことやって暮らしたいという気持ちと社会的に求められる姿とか義務の間で板挟みになった時に夢は捨てられないけどもう追いかけることが出来なくなってしまった男を演じるのが上手いんです。いや〜…好きやなぁ。
でもイーサンホーク演じるパパも、まだ子どもが幼くてパパ自身独身に戻って比較的自由気ままにやりたいことをして生きている頃はすごく輝いていてカッコよく見えたのに、家庭を新たに持つようになりやりたいことより義務の方を優先させるようになってしまった時に輝きが少し衰えて見えてしまう。あの車を売ってしまったと言うところは本当に切ないシーン。子どもが「絶対に変わらないもの」と信じている親が変化した、変化しなくてはならないような時が来ると知ってしまった、あの瞬間。
私もなんだか悲しくなってそれからパパを見る時少し寂しくなってしまった。人がなにかを諦めてしまうのって寂しいな

ママも驚きの変化ぶり。パトリシアアークエットとかナイスチョイスすぎる〜〜アラバマ〜〜😭😭😭女手一つで子育てすることの本当に本当に難しさ大変さ、過酷さ…必ずしもうまくいかない再婚、別れても働かないといけないし子どもを食わしてやらんといけん。自分は苦労して疲れているのにどんどん子どもは反抗的になったり殻にこもってしまう。最後のメイソンの巣立ちシーンも良かったなぁ。子どもなんて本当に親にこれっぽっちも感謝しないであっさり自分の手を離れて大人になっちゃうんだろうなぁ…しみじみ

ねぇ…もう本当にね…

大学に入るまでの子ども時代、という切り取り方も面白い。ほかの人がどう考えているかは知らんが、私は大学に入るまでの人生と親元を離れて大学に入ってからの人生はまるで別人のごとく変わってしまったから。あの頃永遠に続くと思えた子ども時代にも終わりがあるし、あの時考えていたのと全然違う人間になっている。

なんちゅーか映画見てる時は、ぶつ切りの話題がテンポよく進むから意外と長くてもスルスル見やすいんだけど、やっぱり見終わった後12年間を一気に体験したわけだから余韻の重さがハンパない。。。。。。これはとんでもねぇ余韻ですわ……笑

それから、何気ない会話とかその時時の流行りものとかが自分の好みだった!ハリーポッター、ヴォネガット(アメリカの映画で登場人物の好きな作家がヴォネガットとかブコウスキーだった場合だいたいもう一も二もなく好きになってしまう笑)、トロピックサンダー、スターウォーズ、etc. リンクレイター監督は反体制側ぽいな。

誰にでもオススメしたい。とにかくイーサンホーク大好きな自分はイーサンホークとともにプッシュしていきたいと思います!!!☺️
(そうえば是枝監督作にイーサンホークどんな感じになるんだろうたのちみです!)
なすび

なすび