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物置のピアノのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

物置のピアノ(2012年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

東日本大震災から約一年経過した夏の福島が舞台。高校最後の夏休みを迎えた内気なヒロインは、進路を決めかねたまま部活の吹奏楽部に通う日々を送っている。様々な悩みを抱える彼女は、物置のピアノに向かう時だけ心を落ち着かせることができる。
ある日東京に進学していた姉が帰省してくる。ヒロインと姉とは過去にピアノと幼い弟の死を巡るわだかまりがあって…という話。

いわゆる震災もの。これまで僕が観てきた同ジャンルの映画はかなりエグいものが多かったのだが、本作は割と正統派で真っ当な作り。

福島の今を伝えるという志は強く感じられるものの、映画としてはものすごく下手くそな作品。
大体僕が映画の感想書くときは自分なりのザックリなあらすじを冒頭に付けるのだが、本作はそのあらすじがすんなり書けなくて困ったほどにグチャっとした内容。何を言いたいのか全然伝わってこないし、観終わったあとに何も残らない。色々な要素を盛り込みすぎてテーマがぼやけていることが原因。
そもそもこの映画、撮影中に震災が起きたため、元々あった話に震災の要素を加えて再構成したそうで、一貫性がないのもこの経緯のためかと。弟が死んだエピソードや姉との諍いの原因などは震災と全然関係ないことからも分かる(>_<)

また、農作物の風評被害や放射能の影響などを描きたいのは分かるが、それをセリフや直接的な描写でストレートに出し過ぎ。おかげでリアリティが全然感じられない。説明台詞多すぎ。おじいちゃんが急にボケたり、ヒロインが急に家業の桃農園を継ぐと言いだしたり、急に物置が火事になったりと何もかもが唐突。
あと吹奏楽部が被災者のチャリティーコンサートのために練習に打ち込んでいた設定なのに、既定の演目では観客を満足させられず、とってつけたようなアドリブ演奏で感動させようとする流れは心底呆れてしまった。

唯一の見どころは、朝ドラヒロインなどでお馴染みの芳根京子の映画初主演作だということ。この頃の演技はやや拙い気もしたが、存在感があり、既に売れっ子主演女優級な佇まいなのはさすが。本人演奏のピアノの腕前もなかなかのもの。美人の姉の影に隠れがちな地味な妹という役どころなのに、明らかに姉より美人^_^
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