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ターザン:REBORNのvaryのレビュー・感想・評価

ターザン:REBORN(2016年製作の映画)
3.4
Apr. 28th

David Yates監督作品

何を守るのかは、何と戦うのか

David Yates監督の作品ということで、ハリーポッターチームを引き連れて、製作している。ターザンという誰もが知る作品にアレンジを加え、英国味を漂わせながら、現代風に描いている。

印象に残るのは、動物たちの登場するシーン。ここ最近では、"Jungle Book"などCGをつかって完全に動物の一個体を作ることも可能になっている時代である。そのため、細かい皮膚や毛の質感、動物ならではの動きなどもかなり忠実に再現できている。それに加えて、人間的な感情を加えるような表情も作り出すことができている。それは、今後の映画界の可能性も大きく広げることになるだろう。
しかし、実際に撮影しているのは、グリーンスクリーンの前で、チープなお人形さんとともに演技することになる。撮影の際に必要とされるのは、ライティングぐらい。オーディオは後からいくらでもどうにでもなるし、フレーミングも、6Kで撮影し、4Kで上映プリントを作るとなると、そんなに気にする必要も無くなってくる。しいていえば、ポストプロダクションチームがいかにスムーズに安価に作業ができるのかというぐらいである。そうやって取られたものがポストプロダクションチームに渡され、そこから映画の多くが作られていく。なんだか悲しい気持ちもあるが、それが現実。
そうやってできた映画を現代のマーケットは好む。でもそれも、いずれ廃れるだろう。技術革新は人間の認知能力にかなり近づいてきたため、今までに感じたような驚きはこれからどんどん少なくなっていくだろう。それゆえ、再び映画業界にも、芸術として階層的に施されたコンテンツを評価される時代が来るはずだ。そうした時に、再び、プリプロダクションの力、プロダクションの力、編集の力が必要になってくる。

この映画でも、そういった根本的な映画言語の技法は多く使われている。
特に一番印象に残っているシーンは、Christoph WaltzとMargot Robbieの食事シーン。そこまでショットのバラエティは多くなかったのだが、あれだけ基本的なシーンだからこそ、どうやって視聴者をストーリーの波に乗せるのかという工夫がたくさんある。Christoph Waltzはこのシーンのような奥に眠る感情を皮肉的に表情に出す演技が抜群にうまいから、必然的に会話シーンは彼のショットが多くなる。しかし、この作品で気付いたのは、彼の表情は相手の表情にまで反映するということ。彼がダラダラと関係のないようで相手を嘲笑うようなラインを言っている時に、Margot Robbieの表情が画面に映し出される。彼女の視線は彼を睨みつけているようで、怒りを表に出せないように完全に屈服している。ここから、Christoph Waltzの表情がうかがえる。おそらく彼は彼女の目を見ていないだろうし、彼女のそんな表情を気にしていないどころか、楽しんでいるであろう。そういった、自分の感情を相手に映し出すような演技ができるからこそ、編集する際にも、いろんな選択肢があるし、そのシーンの感情的な階層がもう一つ二つ増えるんだと思う。

あとは、レンズのチョイス。ウルトラワイドとテレフォトのギャップがとても大きく、人間界と動物界、権利や富と命や愛情という二つの隔たりを感じることができた。しかも、かなり早いテンポでそれらが入れ替わるから、こちらの感情もどっちに定着したらいいのかわからなくなる。そうやって、視聴者たちがこの映画の中でどちらの立場にも自分を感じながら、第三者として少し離れて見るような感覚にもなる。

VFXの甘さはすこし感じてしまったのが残念。歴史物でVFXで成功した例というのがいまだにないような気がする。現実に存在しないものをVFXで表現することは頂点に達した今、実際に存在するものをコンピューター上で表現することに挑戦し始めるのではないだろうか。まぁどうせDisneyがやり始めることだろうけど。