世界第二位の標高と最も険しく死亡率の高い魔の山カラコルム山脈のK2(チョゴリ)の初登頂を描いたイタリア映画。
ドキュメンタリー風に地道な登山の工程を淡々と描いているので、好みは分かれる。
そのなかで浮かび上がる男たちの名誉欲や征服欲など、夜明けの頂の清々しい美しさとは逆の薄暗い感情とそこから起こる事件が本作の特徴。
作劇はそんなに嫌いではないが、山の民日本人としては、他国の信仰対象である聖なる山を征服して、あろうことか初登頂したから我が国の山だなどと曰う思考は理解に苦しむ(作中ではそのあたりの当時の西洋的価値観への批判の演出もフォローとして織り交ぜられてもいる)。
歴史のわかる映画だった。