MasaichiYaguchi

パディントンのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

パディントン(2014年製作の映画)
4.0
予告編やPRチラシから子供向け、ファミリー映画だとして本作を鑑賞対象から外してしまうのは惜しいと思う。
年の始め、イギリスからやって来たキュートなくまが活躍する本作は、年末年始の慌ただしさから一息つきたい大人たちを心から笑わせ、ホッコリさせてくれる。
この作品は、カメオ出演もしている原作者マイケル・ボンドの児童文学作品「くまのパディントン」を元に世界観を壊すことなく実写映画化している。
主人公パディントンもリアルなくまとして映像化されているが、その仕草やキャラクターは一目で観客を魅了する可愛さだ。
ただ本作は単なる可愛いだけのキャラクター映画ではない。
映画の中心には「家」、「家族」と言い換えても良いテーマが柱としてある。
ペルーでおじさん、おばさんと平和に一緒に暮らしていたパディントンがある日大きな厄災に遭って、故郷を離れてロンドンで新たな「家」を見出そうとする騒動記が繰り広げられていく。
その騒動記は如何にもイギリスらしい都市ロンドンを舞台に展開されるが、アメリカを舞台にぬいぐるみのくまではあるが、同様に騒動記を描く「テッド」とは大分趣が違う。
ただ「パディントン」も「テッド」も主人公のキャラクターを前面に出し、パロディーやスリリングなアクションを盛り込んだエンターテインメント作品であり、そして擬似家族愛を描いた、ある意味“ホームドラマ”だと思う。
原作者マイケル・ボンドが1956年のクリスマス・イブに妻へのプレゼントとして購入したくまのぬいぐるみからインスピレーションを得て生まれた「くまのパディントン」。
家族への愛に満ちた本作は、パディントンのキュートさやコミカルさと共に我々を優しく温かく包み込んでくれる。