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パディントンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

パディントン(2014年製作の映画)
4.0
息子と一緒に見に行ってきました。
あたしはベン・ウィショーの声が目当てだったんですけどね♡

ただ楽しくて可愛いだけじゃない!
異なものを受け入れる寛容という今日的テーマが核にあって、それでいてイギリス愛を感じさせる作品でした。

普段は特撮みたいなものはあまり見ないので、いろんなおもしろいアングルからの映像やCG技術に驚くばかり。
映像や美術は凝りに凝ってて、画面に映るもの全てが可愛い、美しい!

ピタゴラスイッチ的なカラクリの仕掛けがあちこちに散りばめられていて、マーマレードジャム生産システムとか、骨董品店の紅茶とお菓子を出す汽車とか、地理協会の情報管理のやり方とか、見ているだけでときめいてワクワクしました。

カラフルでキュート、しかもイギリスの伝統を感じさせるアンティークなど、色や建物の内装、小物使いも洗練されていて、ドールハウスからの映像なんて、まさにウェス・アンダーソンの世界観です。
「ライフ・アクアティック」や「ファンタスティック Mr.FOX」「ムーンライズ・キングダム」を彷彿とさせ、そうすると、可愛らしいパディントンが食べる時に見せる野獣性もMr.FOXと同じだし、パディントンが居候する家の主人のブラウンさんだって、どことなしビル・マーレイに見えてくるから不思議なもんです。

ただ家の内装がカラフルで可愛いだけじゃなく、ママの部屋は、鮮やかな赤で統一され、壁紙とベッドが東洋的だし、螺旋階段の壁には桜が描かれていたり、イギリスではこういうの珍しいと思うんですね。
ママは異なものを受け入れる寛容の象徴として部屋からも伺い知ることができるんですね。

他にも、弟の部屋は好奇心いっぱい、憧れの宇宙やオモチャで溢れ、お姉ちゃんの中国語など何ヶ国語も喋れる設定はグローバル感を印象づけるし、パパのブラウンさんはリスクマネジメントの仕事柄か、家族を守りたいがために慎重で保守的。

「ウチの家族はみんな変わってるの」ってお姉ちゃんは言うけど、これってイギリス社会のメタファーのように見えなくもなくて、家族や家の内装でしっかり描写されてるのがすごいなと思いました。

未開の地ペルーのジャングルで暮らしていたクマが、地震で家族と家を失い、昔ロンドンから来た探検家との交流があったことを聞いて育ってきてたことから、憧れのロンドンに行き、駅で出会ったブラウンさん一家と繰り広げる奮闘記です。

クマと人間、ジャングルと都会のカルチャーギャップをドタバタおかしく見せてすごく楽しいし、パディントンの礼儀正しい紳士ぶりにも好感が持てます。
ベン・ウィショーの声が控えめでソフト、きれいなイギリス英語でとても紳士的なんですよね。

いろんな騒動がありながらもパディントンを徐々に受け入れていく家族、そこへパディントンを剥製にしようと企む悪役にニコール・キッドマンが登場するのですが、これがM:Iのオマージュ満載で、元夫がトム・クルーズだからやったんでしょうかね?
そんな遊び心も面白かったです。
ニコール・キッドマン、そこそこの歳やと思うんですが、きれいだしスタイル抜群、人間離れしてて妖怪か何かかなと思うくらいでした。

はじめはロンドンの人たちから全無視されて、ブラウンさん一家からも迷惑がられていたパディントンが、守るべき大切な家族の一員となっていくのがあったかいし、何度となく出てくるカリビアン風のストリートバンドの曲がどれも素敵で、ロンドンの街とカリビアンサウンドって異種な感じがするのですが、違うものも受入れようよ、お互いに分かり合おうよという曲のメッセージが、しっかりとこの物語のテーマを支えていて、音楽もまた素晴らしかったです。

困難があって遥々この地にやってきたということでは、移民や難民の問題がすぐに頭によぎります。
排外主義、ナショナリズムの台頭で移民や難民を排除しようという動きと、受入れようとする動きのせめぎ合いで欧州が揺れる今見るからこそ、ただの可愛らしいクマちゃんと家族の絆を描いただけにとどまらない深さを余計に感じます。

ただ、もしかしたら、受け入れられたければ礼儀正しく礼節を忘れなさんなという裏メッセージもある?
ちょっと深読みしすぎかしら?
でも、とっても楽しくて、ロンドンの街の魅力があますところなく映し出されていて、同じクマでも下ネタも下品もなく、子どもとも安心して見れる素敵な作品でした。

9