ソラアユム

パディントンのソラアユムのレビュー・感想・評価

パディントン(2014年製作の映画)
3.6
曲者


ペルーからやってきた熊のパディントンがロンドンで巻き起こす大騒動を描く

思ったよりも面白くて楽しい作品でした。言いたいことがないわけではありませんが気軽に見れる良作であることは間違いないかと。

ブラウン一家がそれぞれ個性的で変人しかいませんでしたが、全員に好感が持てました。特に良かったのがお父さん。この物語の主人公はこのお父さんじゃないかってくらい活躍してますし最も共感できたキャラクターでした。序盤の堅物漢からの変貌ぶりが見ていて楽しい。
ニコールキッドマンのコメディエンヌぶりも大変良かったです。

ただ、今作の主人公パディントンに殆ど好感が持てなかったのが残念。

紳士な熊には全く見えなかった。
親切にしてくれた家族に迷惑をかけまくり家を壊しまくる様子がちょっと度を越していて全く笑えないどころか、この蛮行に対して家族の殆どがほぼ無条件で許しを与えるという序盤の甘ったれたストーリー展開に全くハマれなかった。このパディントンの行いに待ったをかける唯一の人物としてブラウン一家のお父さんの存在がありますが、パディントンに対する彼の態度の方ばかりが悪い描き方をされていてちょっとそれはどうなの?と思ってしまいました。だからこそ、このお父さんに激しく肩入れしてしまったのですが。少なくとも私には序盤で一番まともな人に見えました。

パディントンのキャラクター性も弱い。
親切で心優しい熊ではありますが少なくとも紳士ではないし、冒険家に会いに行くという動機もよく分かりませんでした。そういったキャラクター像が全く掴めず、序盤の蛮行が悪目立ちしていた印象です。序盤のこの騒動から何かを学び、終盤でそれを活かして逆境を乗り越えるだとかそういうのがあれば、まだ評価は変わるんですけどね。結局殆どブラウン一家に助けられっぱなしで自力で何かをしようとする気概が全く感じられないので、物語的主人公としての魅力を著しく欠くキャラクターでした。

こんだけ書いといてなんですが、クライマックスは大変良かったと思います。家族全員漏れなく活躍しますし。パディントンには序盤での苛立ちを終盤で挽回してくれることを期待していたんですが惜しくも一歩及ばず…『パディントン2』で評価が変わることを願いたい。
ブラウン一家は最高!