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複製された男の教授のレビュー・感想・評価

複製された男(2013年製作の映画)
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面白い。隠喩に満ちた悪夢と、心理の投影。
これぞ、映画の醍醐味。ましてや90分弱のタイトさでやるべきことを的確に描写していく気持ちよさ。

ひとまず。メタファーは置いておいても、主人公ジェイク・ギレンホールを悩ます「蜘蛛」というのも「スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム」とのどうでも良い連なりが生まれて面白かったりする。

そしてドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のとにかく冴えた演出。小さなストーリーと、日常の中の不穏と謎。
それらを「一体何が起こってるのか?」とモヤモヤさせながらも、緊張感やムードをしっかり保ちながら見せていくので飽きがこない。

蜘蛛と女、そして裸とセックス。
陰鬱な自分の内面。
「複製された男」という身勝手な日本語タイトルの主語となるのはアダムの方か?アンソニーの方か?
しかし、そんなことは明言されないし、タイトルは不正確。

彼と彼は一体何者かを読み解いていけば、「おや?」となる。
そして、ヘレンや、母親の意味深な台詞と行動。

しかしながら「男の性欲」自体が本当に悪夢の元凶。
しっかりとデリケートな部分まで掘り下げて描きつつ。
本当に。しょうもない生き物である。男は。
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