GreenT

痛いほどきみが好きなのにのGreenTのレビュー・感想・評価

痛いほどきみが好きなのに(2006年製作の映画)
3.5
この映画すごい好きなんっすよね〜。

ウィリアム(マーク・ウェバー)はニューヨークで俳優を目指す20歳の若者。バーでサラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)という歌手を目指す女の子に出逢う。

ウィリアムは一目惚れをして頭からこの恋愛に突っ込んでいくのだが、サラはちょっと引き気味。それは一度痛い目に合って慎重になっているというのと、今は男より自分のアイデンティティを築き自立したいから(だと思う)。

でも若いから!あんだけセックスするのに慎重になってたサラ(「セックスしたら恋してしまう」)が、実際入れちゃうと

「コンドームつけてる?」

「つけてない」

「・・・まあいっか!」

ってテキトーなところ、若いなあ(笑)

で、狂おしいほど情熱的な1週間をメキシコで過ごすが、サラが先にニューヨークに帰り、映画の撮影を終えたウィリアムが6週間後かなんかに帰ると、サラはすごい冷たくなっている。

これもわかるわ〜。私も夏休みを終えて学校に行ったら、すごい好きだった男の子が好きじゃなくなってて無視しちゃった事がある。傷付けただろうなあ。

ウィリアムは「ふざけんな〜!」って怒るんだけど、どうしてもサラを忘れられない。で、ストーカーみたくなっていくんだけど、サラに

「今はボーイフレンドが欲しくないのよ!」

ってズバっと言われてしまう。

サラは、ウィリアムのことが好きなので、距離感を保つことができれば仲良くしていたい。つまり「友達でいましょう」なんですよね。

それと、サラは、ウィリアムがサラを神格化して執着しているだけで、等身大のサラに恋しているわけではないことが分かっている。自分もそういう風に男に執着したことがあるから。

サラのことが忘れられないウィリアムは、8歳のときに別れたきりのお父さん(イーサン・ホーク)に逢いに行く。お父さんは「サラって娘は、お前のこと愛していたのか?」と訊くが、ウィリアムは答えられない。

原題の “The Hottest State” というのは、「一番熱い州」つまりウィリアムの出身地テキサスのことを指しているが、同時に「一番熱い状態」、つまりこの「初恋」にもかけているのではないかなあと思います。ウィリアムはお父さんの「テキサス出身だってことを忘れるな」ってアドヴァイスを「役にも立たないアドヴァイス」と言っているけど、映画的には「初恋の情熱を忘れるな」って意味なんじゃないかなあ。

このウィリアムとサラの、幼くてバカで要領を得ない恋愛が、本当に胸キュンとなる。私もホテルにこもりっきりでセックスしまくってた時あったなあとか(笑)、あの、「ものすごい吸引力で誰かと繋がってる」みたいな高揚感、でもすぐに冷めてしまって、上手く相手との距離感が掴めなかったり、本当に過呼吸になるくらい辛かったり。

あと、イーサン・ホークとローラ・リニーが演じるウィリアムの両親。一目惚れで恋に落ち、多分10代でウィリアムを妊娠し結婚したけど、お互い大嫌いになって離婚する。

ウィリアムが小さい時、クリスマスにプレゼントを渡しに来た父親が母親と口論するシーン、うちも両親が離婚しているのですごい刺さる。

後半でサラがウィリアムに、「あなたのハートを壊したのは私じゃない。あなたのハートはすでに壊れていたのよ」って言ったけど、ああ〜と思い当たる節があった。私も、両親の離婚で悲しい幼少期を送ったから、その悲しみを埋めるためにボーイフレンドに異常に執着した時期があったんだなあとか。

ちなみに、ウィリアムの元カノを若いミシェル・ウィリアムズが演じています。この娘はウィリアムのこと好きなのに、ウイリアムはサラしか目に入らないんだよなあ。

最後もすごい良くて、しばらく時間が経って、ウィリアムとサラは会って話をする。二人は別の道を行くってことがハッキリ解かる。ウィリアムはサラと初めて逢ったバーを見て、その時のことを想い出す。

ここがさ〜!もうウィリアムはサラに対する執着もなく、手放して先へ進むことができる。いいことなんだけど、なんて切ないんだろう。もう悩まなくていいはずなのに・・・。

で、車に乗ったウィリアムの後部座席には、若かった頃の両親が仲良さそうに座っている。

これも、結局ビターに別れてしまったけど、大恋愛(the hotetst state)をしたことは、やっぱり悪いことじゃないんだ、って感じがちょっと泣ける。
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