青山

スパニッシュ・ホラー・プロジェクト 悪魔の管理人の青山のレビュー・感想・評価

3.6

スペインの若手監督版のマスターズ・オブ・ホラーみたいな感じのシリーズ、「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」より。本作は、調べたらRECや機械仕掛けの小児病棟の監督さんらしいですね。

新居を探す若いカップルがヤバい不動産屋さんの広告に引っかかって悪魔の管理人の餌食になるお話。


これがなかなかの良作でした。
1時間ほどの短さの中でベタながらも見事な構成と演出で退屈させない仕上がりになってるんです。

土砂降りの雨の中でお家見学。しかし見に行く予定のアパートが思わぬ辺鄙な場所にあるかと思いきやなんと廃墟じみたボロ建物で、帰りたいオーラを出すも管理人のおばちゃんは気付かぬふりでゴリ押ししてくるという、心理的な不快感から物語が始まります。
その不快感は、とあるきっかけで一気に確固たる恐怖へと変わり、しかし何故、何が起きているのか?というところが分からないモヤモヤがじわじわと襲ってきます。

そして、ちょうど真ん中あたりで一発ありがちだけど効果的なフックを仕掛けてきて、そこからはいよいよ後半戦の始まりだとばかりに展開が派手になっていく構成が見事。
こんなおばちゃん1人相手に何を手こずってるんだとか、殺せるうちに殺しとけよとか、お約束のツッコミは入れつつもあの手この手で襲ってくるキチガイババアの姿にはたしかにこんなのに襲われたら冷静な判断できひんよなという説得力さえあって......。
それなのに、最後まで見ていくうちになんとなく哀愁のようなものを感じたりもして、嫌な話なんだけどあの嫌なババアを単に責められないホラー的ワビサビがあるんですね。
結末も、俺でもそうするわってくらいシンプルでベタですが、この作品にはそれが良い。
とにかくオーソドックスなホラーを高い演出力でやった感じの良作で、退屈せず見られました。意外な掘り出し物でオススメです。
青山

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