LalaーMukuーMerry

ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.1
スポーツものは好きだし、コメディチックな印象のタイトルに引かれて手に取りました。が、実話に基づく大真面目で胸が熱くなるとても良いお語でした(ていうかドキュメンタリー)。
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アメリカ領サモア
人口たった6万5000人。一人当たりGDP8000ドル(2013)、農業と漁業が主な産業。おおらかで素直で信心深い人たち。多くの若者は学校を卒業するとアメリカに働きに出る。プロサッカーが成り立つ筈もなく、ナショナルチームの選手は全員アマチュアでちょっと太め、でもみんなサッカーが大好き、勝ちたい気持ちも人一倍、でも走れない・・・
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国際Aマッチ全敗、FIFAランキング最下位、世界最弱と貶されたナショナルチーム強化に立候補したオランダ人監督トーマス・ロンゲンの元に集まった選手たち。2001年の対オーストラリア戦の屈辱を体験したベテラン・ゴールキーパー、若手選手たちの中で異彩を放つのがLGBTのTであろう一人の選手ジャイヤ。
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男、女、それに第3の性(サモア語でファファフィネ)。第3の性が社会に自然に受け入れられているという伝統がサモアにはあるらしい。がっしりした体格のバックスの選手なのだが心は女(ていうかファファフィネ)。チームにしっかり溶け込んでいて、回りの選手も“彼女“("彼?")をチームの一員として普通に受け入れている。
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チームを強くするために「合理的に進める(伝統を捨てる)」部分と、「郷に入っては郷に従う(良さを認める)」部分との折り合いをつけながら、若手選手を鼓舞し、チームをまとめていく熱血監督。そんな監督もいつしかサモアナイズされていき・・・、ワールドカップ・ブラジル大会(2014)のオセアニア予選でチームはついに奇跡を起こす。
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チームスポーツの素晴らしさ、その原点を思い出させてくれる作品でした。