MasaichiYaguchi

KANO 1931海の向こうの甲子園のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

KANO 1931海の向こうの甲子園(2014年製作の映画)
3.7
初め本作の3時間5分という上映時間の長さに戦々恐々していたが、嘉農球児たちの一球入魂の熱いプレーを観ていたら、いつの間にか時を忘れてしまった。
北京オリンピックが閉幕したが、選手たちの奮闘を見ていると、スポーツの持つ醍醐味や熱さを改めて痛感した。
そして甲子園球場で開催される全国高等学校野球選手権大会に何故多くの人々が夢中になるのか、この作品を観ていると、その答えが分かるような気がする。
そして103回もの長きに亘って開催されてきた大会の歴史の中で台湾代表の「嘉農」が出場し、台湾だけでなく、日本でも旋風を巻き起こしたことを初めて知った。
1931年、日本統治下の台湾、未だ一勝もしたことがない最弱の嘉農野球部に、松山商業野球部で経験も実績もある近藤兵太郎が監督に就任する。
日本人、漢人、高砂族という三族混成チームである嘉農野球部は、この監督の斬新だが理に適った様々な練習方法でめきめきと上達して変わっていく。
この作品ではこの練習風景を丁寧に描いていて、現役の野球部員にも参考になりそうな気がする。
そしてもう一つ重きを置いているのが試合のシーン。
嘉農だけでなく対戦相手の選手を演じる俳優たちも、一球一球、一つのプレーごとに真剣に心を込めてやっているので、そのひたむきさや熱さがストレートに胸を打つ。
野球は国境や海を越え、そして民族さえも超えて、我々に感動を届けてくれる。
ラストやエンドロールでの彼らの紹介も含め、爽やかな余韻が何時までも残った。