円柱野郎

紅い眼鏡の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

紅い眼鏡(1987年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

声優・千葉繁のPV企画から発展して製作された押井守監督の初実写作品。
凶悪犯罪に対抗するために設立された警視庁殊武装機動特捜班。
しかし行きすぎた活動により組織は解体され、主人公の都々目紅一(千葉繁)は逃亡する…。

映像の安っぽさはほぼ自主映画の類。
実際に予算はすごく少なかったらしいけど、その分の実験映画的な工夫が随所に見られる。
ただ、“アニメの論法を実写に持ってきた”感がありありと見て取れる演出が良いか悪いか、ここで大きく評価が分かれそうだけど…。

多くの場面は白黒映像も相まってアンジェイ・ワイダか、はたまた陰影はリドリー・スコットかという印象もあるけど、基本的には画面レイアウトを決めてから撮っているのがよく分かる感じ。
この辺がアニメ的な論法と思うところだけど、ドタバタ場面では特に顕著。
千葉繁が演じるキャラクターは「うる星やつら」のメガネの延長であるし、端々に入るギャグは(成功しているかは微妙だが)当時の押井守の作品らしさも感じられる。

出演者は「うる星やつら」の繋がりから多数の声優が出演しているけど、舞台以外では普段声しか聞けない人たちの演技なので、そういう意味ではすごく貴重かも。
千葉繁なんて全裸で出演してるしw

虚構と現実が入り交じった世界、立喰師、何だかとっても哲学的という“押井作品らしさ”が顕著に出ている作品なので、ファンとしては抑えておきたい映画だが、話が面白いか面白くないかと聞かれると悩んでしまうw
まあ少なくとも押井守のファン以外には薦められないのは間違いない。
円柱野郎

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