次男

アメリカン・スリープオーバーの次男のレビュー・感想・評価

3.9
彼ら彼女らの気持ちを、言語化できちゃう(しちゃう)自分が悲しかったですよ。だめじゃないですか、真逆ですよ、言語化なんて。徐々に彼らから遠ざかってるんだなあと痛感したですよ。なにが瑞々しいって、「これは私だけのもの」って思ってること、ですよ。みんながみんな、同じようなことを思って、同じくらい無理してんのに、「私だけの」ってみんな思ってることが素敵ですよ。「それは◯◯だね」だとか、「思春期にありがちな」とか、そんなのは最も嫌いなんじゃないかと思うですよ。って言ってる時点でそれ自体が言語化と決めつけじゃんすか。あーあ僕は年をとった。年をとって不粋。

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ええい、不粋ついでに、書き記してしまう。

理想の彼女を探すボーイ。せっかく見つけたのに、彼が逃げ出した理由、わかるぜ。わかるぜボーイ。そして、彼にたぶん恋してしまってるであろうボーイ。きみのドラマはまだ先だねボーイ。傷口を見る、言いかけた少しの言葉、これだけで伝える演出力。明示しなさもグッドっす。

金髪ピアスガール。「本当はしたいけど、今夜はもう十分なの」この台詞が素敵すぎた。いままで言ったことないけど、男の僕だって幾度か思ったことがある。いくら髪を染めてもビールを飲んでもピアスを開けても、スライダーを降りるか止めるかは、そんなのと関係ないすね。高校のとき、茶髪でスカートの短かった、派手なクラスメイトたちを思い出した。先輩と付き合ってるとかそんな噂を聞いて随分先にいるんだろうなあと思ってたものだけど、きっとべつにぜんぜん余裕とかじゃなかったんだろうなあ。ガール。

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以下はただただ好みだけれど。

上ふたつ以外のエピソードはなんだかすこしストーリー過ぎて、僕は「もっとなにも起こさなくていいのに〜」と思ってしまった。10年経っても「あの日」と覚えてるような日じゃなくて、one of these daysというか、もっともっとぼんやりしたものになってほしかったな。

朝が来る描写は、まだまだ情感たっぷりでもよかったのでは。「朝が来る描写」で想像するようなカットの羅列じゃ、勿体無いような。

そして、翌朝のみんなの様子は、なんとなく観たくなかったな。

(「青春」「群像劇」「夜」と並ぶもんだから、どうしたって、大好きだった『バッドチューニング』を思い出してしまう。)

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このあとに『It Follows』撮ってると思うと、監督なかなかこじらせてんなー。良い意味で。
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