アタフ

アメリカン・スリープオーバーのアタフのレビュー・感想・評価

4.4
一見『アメリカン・グラフィティ』のような青春映画に見える。ティーンエイジャー達がそれぞれお泊り会を開きそれぞれ好意を寄せる相手にアプローチをかけるというシンプルなお話。

監督は『イット・フォローズ』デヴィッド・ロバート・ミッチェル。ティーンエイジャーが主役なことやデトロイトが舞台なのも共通しており『イット・フォローズ』からホラー要素を抜き取ったような雰囲気の映画だ。

不思議な印象を受ける映画だった。よくくある青春映画と変わらない気がするのだが何でだろう…この映画から凄く"死の匂い"だったり"虚無感"を感じてしまうのは…?別に誰かが死んだり絶望したりする内容ではないのに…

ある男の子が「みんな冒険を期待して大人へと急ぐ、後で気づいても引き返せないのに」という子供らしからぬセリフを言う。このセリフがこの映画のすべてを象徴しているように思えた。登場するティーンエイジャー達はまさに今"引き返せない過去"を生きているのだと。この一晩が彼らにとって人生の頂点であり、今後の人生もこの一晩を超えることは絶対にありえない。そんな気がしてならない。自分の見方が極端なのかもしれませんが、この映画が凄く残酷な映画に思えた。

たぶんそう感じてしまうのは自分自身が"引き返せない過去"を引きずって生きているからかもしれない。仕事に向かう電車の中で「小学生の頃は輝いていたな…中学生のころは楽しかったな…」などと感慨にふける自分は、この先、一生あの頃を超えることはできないんだろうなぁ…
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