りっく

アメリカン・スリープオーバーのりっくのレビュー・感想・評価

4.5
10代は青春の神話だ。夏休みの最後、スリープオーバー(お泊まり会)の一夜を群像劇として捌いていく本作は、現代を思わせる小道具は一切出てこない。

酒を飲み、タバコを吸い、そしてキスをする。早く大人になりたいとその時は思っていても、後から振り返るとその時間はもう戻っては来ない。そんな非日常で刹那的な時間の、刺激的で、甘美で、儚い体験を切り取ってみせる。  

この監督は本当にロケーションの切り取り方が素晴らしい。風呂場、プールサイド、地下室、階段の踊り場、船の上、更衣室、そして、ウォータースライダー。そこで風が髪をなびかせ、プールがさざ波を立て、見えないものの気配を感じさせる。

男女が向き合い、青春のキラキラとした時間を共有する。そんな青春映画の手触りとは本作は一線を画す。性を知ることや、大人になることの予感と結び付くと同時に、人気のない町が、彼らが早く大人になることを手招きしているような、破滅の始まりの予感さえ漂わせているのだ。
りっく

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