おなべ

マダム・イン・ニューヨークのおなべのレビュー・感想・評価

3.7
◉自分が海外に行った時と全く一緒の感情を思い出した。言葉が通じなくてもどかしい気持ちや、“言葉が通じない”だけで孤独や疎外感が一気に押しよせて来る気持ち。主人公に共感し過ぎて、身体の一部が勝手にリズミカルに踊り始めた。(←ヤバすぎ)

◉インドでケータリングの仕事をやっていたシャシは、母親と夫、子ども2人と5人暮らし。NYで開催予定の姪の結婚式の準備の為、1人でNYに向かう事に。そこで待ち受ける言葉の壁にシャシは打ちひしがれてしまい…。

◉至極当たり前のように思える事だけど、実際に相手の言葉が理解出来ない、自分の言葉が通じない時のストレスは想像以上に苦しい。その時だけの関係ならまだしも、長期間となると精神的なストレスが溜まり、自己嫌悪に陥る事も。

◉この時、精神的支えになるのが昔の仲間や家族、そして母国語。嘘みたいだけど第二言語を話せない時に海外の異文化に揉まれる中で、母国語を喋る人がいた時の安心感ときたらこの上無し。ただ、この大き過ぎる言葉の壁を乗り越えるのは、その人でも家族でもなく、自分自身。乗り越えた先の景色は、きっとその人にしか分かりえない充実感があるんだと思う。シャシも同様に自分で乗り越えたからこその、あのラストシーンだったはず。

◉自分も同じく英語を学んでいる身としては大いに共感できる部分が沢山あったし、勇気を貰える作品だった。

◉長男でイタズラ好きのサガルには個人的にアカデミー助演男優賞を贈りたい。
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