新宿・K's cinemaの「彩プロ30周年記念特集上映」で鑑賞。面白い。面白いけれど、身につまされすぎて、涙が出てきちゃったよ。
英語がわからないことで家族にバカにされている超美人のマダムが、親戚の結婚式とその準備のため、単身ニューヨークに行き、約1カ月間滞在する。
旅立つ前の不安、入国審査のドキドキ、お店で買い物するときの店員のホスピタリーのなさによる不安と情けなさ。早く自分の国に帰りたいという気持ちに、強く強く共感する(強くを重ねざるを得ない・笑)。
そんなマダムは、4週間で英語が話せるようになるというバスの車体にプリントされた広告を見かけ一念発起。周りに内緒で単身、英会話スクールに通うことになるが…。
英語が話せない外国人がニューヨークの英会話教室に通って、4週間でそれなりに英会話ができるようになるという、いってみればそれだけなのだけれど、こんなドラマになるとは。
テレビやDVDを見てフレーズを復唱するマダムの勉強姿は、身に覚えがないことはないだけに涙ぐましい。マダムの英会話が、ひよっとしたらこのくらいにはなれるかも、というリアリティを感じる程度に上達するもの良い。
でもね、いくら何でも夫と娘がひどすぎない? 夫はマダムを料理しかできない女扱いだし、英語の成績が優秀な娘は自分よりも劣る人間として見下している。
マダムの英会話習得は人間の尊厳を回復するためだから、私ならもう絶対外には出ないぞと固く決心するような仕打ちを受けた後に、英会話スクールに通おうという気になるのだろうけれど…。それにしても夫と娘にはムカムカした。
インド映画はハッピーエンドがセオリーだから、夫も娘も自信を付けたマダムを認め、大団円になるのはわかる。でも違和感がある人、いっそのことあのフランス人とくっついちゃえばいいのにと思った人、自分だけでないはず。
マダムの英語のスピーチ前までの夫と娘の言動からすると、2人とも美人のマダムを自分よりも下に置きたいと思っている感アリアリ。
本当なら2人は、マダムのスピーチを聞いてもなお、重箱の隅をつつくようなことでマダムをバカにするに違いないと思ってしまう。ひねくれているのは承知だけれど、芥川龍之介先生の『鼻』の方が人生の真実でしょ。
ただまあマダムは家族と幸せになりたいのだろうから、マダムに免じて2人は許そうかと(笑) マダムには幸せになってもらいたいと、何故だかとても強く強く願ってしまう。
●物語(50%×4.5):2.25
・涙なしには観れない物語。
●演技、演出(30%×4.0):1.20
・美人マダムがイイ。英会話スクールの仲間も好き。
●映像、音、音楽(20%×3.0):0.60
・インド映画なのに歌と踊りが控えめなのは自分的にはちょっと物足りないかも。