ペンバートン

マダム・イン・ニューヨークのペンバートンのレビュー・感想・評価

4.5
外国語学習という異文化との接触を通じて自らの価値観をより相対化し、誇りをもって自身を肯定する物語。インド国内において、家庭に入った女性が狭いコミュニティに囚われながら家族の世話のみを本分とされ、「内」と「外」いずれにおいても疎外感や自尊心の喪失を感じてしまうシャシの状況は、日本旧来の家父長制やそれに基づく価値観に非常に類似していて、国際的に意外と共通するところがあるのだな、と感じた。また、そのシャシがニューヨークの摩天楼の下をコーヒー片手に、サリーの上にコートを羽織って歩む姿は、ある種エスニックなインドの文化と資本主義的なアメリカ文化が物質的に融和しているようですごく好みだった。彼女が語学学校で自信を取り戻すという精神的解放の過程もただただ微笑ましくて良い。

加えて、女性という観点から言えば知らない土地で安易に恋に落ちたりしない点も良かった。勿論、ローランは優しげで魅力的なキャラクターだったが、シャシ自身が自分の求めるものをうまく峻別できているような描き方でさすが女性監督の作品だな、と感じる。

シャシはめちゃくちゃ愛らしいキャラクターだし、ボリウッド的な音楽も抜群に良かった。個人的にはハイブランドの名前を言いまくる曲が好き。英語学習のモチベーションも高まる良い映画。