うーん、場所を契機として異なる時間、現実と非現実がすれ違う様を映しているのだが、大したことも起こらず、面白い細部にも乏しく、途中からはただ過去にあった事件の結末を引き伸ばしているだけに思えた。
こういうものなら、『輪廻』の方がすごい。
鏡を客観的に分析しようとする装置群は面白かったけど(怪奇現象を客観的な分析の遡上に載せようとするモダンな趣向)、結局、それがホラーを新しい境地に持っていくこともなく、『ジェーン・ドゥの解剖』のように分析そのものが恐怖を生み出していく感覚もなく、むしろ怪奇現象自体が幻覚であることを明確に映してしまっていて、理性の侵入を悪い形で許してしまっていた。
あと石膏像から布をはがすシーン、はがし方が早すぎて、ホラー映画でそれはないんじゃないのと思った。