わたがし

I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIEのわたがしのレビュー・感想・評価

5.0
 始まりから終わりまで息つく暇もなくずっと楽しくて優しくて幸せで「ずっと映画が終わらなければ良いのに!」というテンションで観ていた。ギャグのテンポが異常に速いので、じんわり噛み締めたくなるような場面がスッと流れ気味なのが少し寂しいけれど、それ以外は本当に楽しくて幸せ、自分の冷え切った心もすっかりポカポカになる。
 何てったってこの物語の主人公はスヌーピーではなく完全にチャーリーブラウンで、このチャーリーに共感せずには&感情移入せずにはいられない。共感&感情移入の没入具合で言えば今年ベスト級にどっぷりと浸った。面倒臭さ具合、自己嫌悪具合、劣等感具合、好きな人への一途具合、とにかくテンプレートなのに全然テンプレートに見えない(見せない)キャラクター造形の温かい優しさ。小学生、中学生時代のどん底の自分を思い出して涙が止まらなくなる。しかしラストのラストで「生きてて本当に良かった!」と地の果てに向かって叫ばずにはいられないほどの、これまた「優しすぎる」大展開に涙 in 涙の大洪水になる。きゅっと抱きしめられて「思いっきり泣いてもいいんだよ」と言われているよう。なんて優しい映画なんだ。
 そんな優しさに感動しながらも、要所要所で挟まれるスラップスティックすぎるギャグ、ドラッギーすぎる場面切替などなど、ガキの悪戯みたいな要素も大充実していて超楽しい。スヌーピーの妄想場面では縦横無尽にカメラがギュルギュル回り、下品なまでに飛び出したり引っ込んだりする3D演出が冴え渡る。そしてその世界とチャーリーブラウンの世界とを繋ぐ赤い飛行機の末路!これが本当に心地の良い余韻を味あわせてくれる。
 そして大変に気に入り尽くしたのが、全編いちからじゅうまで延々に「こどもたちだけのものがたり」になっているということ。しかも恐ろしいほどまでにそれが徹底されていて、リトルプリンスでも語られたテーマに半ば対抗するような「こどもってのはこうなんだ!」的価値観を見せてくる。こどもの無邪気さも、こどもの「おとなっぽさ」も、こどもの残酷性も、ぜんぶこどもの目線で語り、それら全てを優しく肯定し、こどものものがたりのまま完結するという美しさ。ああ美しい!美しすぎる!心が洗われる!心が!綺麗に!
 今までスヌーピーが特に好きなわけでも思い入れがあるわけでもなかったのだけれど、本当に楽しくて心が綺麗になる大好きな映画だった。今後は心が汚れる度にこの映画を観返したい。子供の頃、ずっと頭の中で考えていた空を飛ぶ夢、声を掛ける勇気さえなかった好きなあの子のこと、小学校の楽しくもあり残酷でもあったクラスメイト達…それらの思い出を一気にぐわああっと喚起させられ、咀嚼を強要され、そして「忘れろ!」と一喝、そしてきゅっと愛の抱擁……こんなにも優しい映画が過去にあっただろうか!ありがとう!ありがとうスヌーピー!僕はスヌーピーみたいな彼女が欲しいよ!