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FRANK ーフランクーのgungchang15のレビュー・感想・評価

FRANK ーフランクー(2014年製作の映画)
4.0
バンドをある程度やっているとたまに見かけるやつ。

どこからか謎の民族楽器を仕入れてきて、「この音を曲に取り入れてみよう」とか提案してくるやつ。

それらの9割方は「工夫」とか「マーケティング」といわれる行為だろう。

残り1割は「この曲を作りなさいとある朝マリア様から啓示を受けたのです」とか本気で言いだすやつね…

その中からお薬の力に頼ってるニセモノを除いて残った本物こそが、
いわゆる「天才」である。

そんな天才に憧れたことが1度でもあるなら、
そしてどう頑張っても自分が凡人であることに気づいてしまったのなら、本作はなかなかに沁みると思う。

類い稀なる音楽センスを持ちつつ、シュールなお面を常に被った謎の男、フランク。演じるマイケル・ファスベンダーは今一番のっているイケメン俳優のくせに顔が映らない。誰得…?
ただしメタルバンド経験者ということもあり、歌声はなかなかサマになっている。
楽曲も70年代ポスト・パンクを彷彿とさせる妖しげな感じが凄く出ている。テルミンは本当にズルい楽器だね。

地獄のレコーディング合宿とか、音楽性の違いで揉めるとかもすごーく共感できる。

ただし、天才が見ている風景だけは想像する他ない。もしかしたら音が何らかの色彩に変換されて見えるのかな~とか。マスク被ってるから余計に想像を掻き立てられる。効果的な舞台装置だ。

そして主人公のジョンは確かにイケてないが、成功せずに埋もれていく天才たちを表舞台に引っ張り上げる仕掛人は必要悪なのでは?
セックス・ピストルズというどうしようもないチンピラをスターに仕立てたマルコム・マクラーレンしかり。
まぁ、だったら裏方に回れよって感じだったけどね(笑)

音楽映画としては意外にも正統派。セックスドラッグうぇーいとかじゃなく、音楽と演奏者へ真摯に向き合った作りをしている気がして、とても良い作品でした。


ちなみに「俺はカートコバーンの生まれ変わり」とか言っててお薬で捕まったお塩の彼は天才ではなく"天然"だろうね(笑)