イチロヲ

一条さゆり 濡れた欲情のイチロヲのレビュー・感想・評価

一条さゆり 濡れた欲情(1972年製作の映画)
5.0
野心溢れる若手ストリッパー(伊佐山ひろ子)が、引退を控えるトップランカー嬢(一条さゆり)を乗り越えるべく粉骨砕身する。性産業に従事している女性たちの生き様を描いている、日活ロマンポルノ。伊佐山ひろ子がキネマ旬報女優賞を受賞している。

視野の狭い若手のジタバタ模様と、一条さゆり(本人役)の実録風ドラマを交えている作品。一条さゆりは、計9回の検挙歴をもつ人物であり、いわゆる「体制と闘う女神」という立ち位置。警視庁によるロマンポルノ摘発と重ね合わせている。

ドラマ本編を牽引するのは、伊佐山ひろ子&粟津號、白川和子&高橋明という、2組の訳ありカップル。間男が入れ替わり、男女がポカスカ殴り合うのが日常となっている異様な世界。伊佐山ひろ子のサイケ柄コスチュームがステキ。

「性産業に関わっていたら、そりゃ色々なことが起こるさ」の「色々」な部分を、他愛のない児戯のようにスケッチしているところが醍醐味。ふたりのヒロインの立場から虚実を描きつつ、さゆりイズムの継承へと着地させるクライマックスが美しい。
イチロヲ

イチロヲ